2026年も7ヶ月が経過しました。前回(6月末)記事の続編として、7月末時点の世界市場をデータで振り返ります。
7月はこれまでの主役だったアジア勢が大きく調整した1ヶ月でした。日経平均は7月上旬に一時7万4千円台まで駆け上がったあと急反落、韓国・台湾も高値から大きく水準を切り下げています。それでも7月末時点でも ACWI > S&P500 の構図は変わらず、これで2年連続のACWI優位が続いています。
2026年7ヶ月経過 世界市場の動向は?
主要4指数の年初来パフォーマンス(2025年末=100)です。6月末との比較で、7月の調整の大きさがよく分かります。

- 日経225 +27.9% — 6月末の+39.2%から11ptの急落。一時7万4千円台→6万4千円台へ
- Russell2000(IWM) +18.8% — 6月末の+22.6%から小幅調整
- ACWI +11.3% / S&P500(SPY) +10.1% — 両者ともほぼ横ばいを維持
興味深いのは、急騰していた指数ほど7月の下げが大きいという点です。日経は-11pt、ナスダック100も+20.2%から+12.3%へと8ptの調整。一方で、もともと上昇が緩やかだったACWIとS&P500は、ほとんど水準を落としていません。「上がりすぎたものが戻す」という、ごく健全な調整だったと言えます。
今年の特徴は? ACWI > S&P500(2年連続を維持)

- ACWI: +11.28%(紫)
- S&P500(SPY): +10.13%(水色)
- 差分: +1.15pt(6月末の+1.57ptからやや縮小)
アジア勢が大きく調整したにもかかわらず、ACWIのリードは+1.57pt→+1.15ptと、わずかな縮小にとどまりました。理由は、7月に欧州が上昇に転じたためです。イギリスが+11.7%まで水準を上げ、ドイツもプラス圏に浮上。アジアの下げを欧州が肩代わりする形で、ACWIの「米国以外37%」が支えられました。分散の効果が、そのまま数字に出た1ヶ月です。
あなたは S&P500派、それともオルカン(ACWI)派?
2年連続でACWIが勝っていると、やはりオルカンに目が行きますよね。でも長期データで、いったん頭を冷やしましょう。

- 過去5年(2021/07 → 2026/07):S&P500 +82.7% / ACWI +67.0%
- 絶対差は +15.7pt で S&P500 の勝ち
- 2026年はACWI優位でも、5年スパンの差は依然として大きい
長期で見れば依然 S&P500 のリードは大きい。それでも私が「生きているうちに追い付かれても大差はつかないだろう、、、たぶん」と考え、S&P500派を続けるのは、「決定的に間違えてはいない」という安心感があるからです。
長期で見るとどっちが勝つ?1988年からの累積成長
MSCI ACWI 指数本体(ETFではなく指数)の1988年からのデータで、38年の累積成長を比較します。

- S&P500: 1988年=100 → ×29.3 倍(+2,826%)
- MSCI ACWI: ×11.2 倍(+1,021%)
- 差は 約2.6倍。長期では圧倒的にS&P500が勝ち続けている
2000年代前半まではほぼ並走していましたが、2010年以降の米国一極集中相場で差が決定的に開きました。1〜2年の優劣では、この38年の差は簡単には埋まりません。
ACWI > S&P500 の発生確率は?1989-2026の38年データ

38年の年間騰落率で見ると、ACWI が S&P500 を上回った年は 14年(36.8%)。S&P500 が勝った年が 24年(63.2%)です。
10年区切りで見ると傾向がはっきり
| 年代 | ACWI 勝ち | ACWI 平均年利 | S&P500 平均年利 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 1990年代 | 3 / 10年 | +10.2% | +16.1% | 米国優勢(ITバブル) |
| 2000年代 | 7 / 10年 | +1.7% | −0.6% | 米国「失われた10年」。BRICs/新興国優勢 |
| 2010年代 | 2 / 10年 | +7.3% | +11.8% | 米国一極集中(GAFAM) |
| 2020年代 | 2 / 7年 | +11.2% | +13.9% | 米国優勢継続(2025-26で逆転中) |
2000年代だけ ACWI が圧倒したのがポイント。ITバブル崩壊で米国が10年マイナスを記録した中、新興国・コモディティブームに乗った ACWI が持ちこたえました。「米国がコケる10年」が来ない限り ACWI は S&P500 を超えられないのが過去38年の現実です。
国別ETFの年初来騰落率でみると?

- 🥇 韓国(EWY): +61.6% — 6月末の+107.7%から46pt急落。それでも依然トップ
- 🥈 台湾(EWT): +52.0% — 6月末の+71.0%から19pt調整
- 日経225: +27.9%(6月末+39.2%から11pt調整)
- Russell2000(IWM): +18.8% / ブラジル(EWZ): +16.5%
- オーストラリア(EWA): +13.6% / NASDAQ100(QQQ): +12.3%
- 📈 イギリス(EWU): +11.7% — 6月末+6.4%から大きく上昇
- ACWI: +11.3% / S&P500: +10.1%
- 📈 フランス(EWQ): +5.9% / ドイツ(EWG): +2.9%(マイナス圏から浮上)
- インド(INDA): -7.9% / 中国(MCHI): -6.5%(-14.5%から回復)
7月の特徴は「アジアから欧州へ」という資金の逆回転です。上位を独占していた韓国・台湾・日本がまとめて調整する一方、出遅れていたイギリス・フランス・ドイツが揃って水準を上げました。中国も-14.5%から-6.5%へと戻しています。「強い国は毎年入れ替わる」どころか、「月単位でも入れ替わる」ことを見せつけられた1ヶ月でした。
ACWIの構成国比率はどう変化した?米国比率は再び上昇
ACWI(オルカン)は時価総額加重なので、値上がりした国の比率が自動的に増えていく仕組みです。7月のアジア調整は、この構成比にも表れています。

- 2010年に 約45% だった米国比率は、2025年には 約66% まで上昇
- 2026年前半、非米国の急騰で約15年ぶりに63%まで低下
- ところが7月、アジア調整で再び64%前後へ反発
6月末の記事では「15年ぶりの米国比率低下は地殻変動の予兆か」と書きました。しかし7月は、その動きがあっさり一部巻き戻された形です。1〜2ヶ月の動きでトレンド転換を判断するのは危険だという、良い実例になりました。米国一極集中が本当に終わるのかどうかは、年単位で見ていく必要があります。

現在のACWI構成国比率です。米国が約64%と、1国でほぼ3分の2。2位の日本は株価調整を受けて約4.7%へ、6月に中国を逆転した台湾も約2.3%へと比率を落としました。ACWIとS&P500を比べるということは、実質的に「残り36%(=米国以外)」の出来次第、という構図は変わりません。
※構成国比率は MSCI ACWI ファクトシート/iShares ACWI 公表データを基にした概算です。月次・市況により変動します。
まとめ
- 2026年7月末、ACWI +11.3% > S&P500 +10.1%。2年連続ACWI優位を維持(差は+1.15pt)
- 7月はアジア勢が大幅調整。日経は-11pt、韓国は-46pt、台湾は-19pt
- 代わりに欧州が上昇(英+11.7%・仏+5.9%・独+2.9%)。分散が効いた1ヶ月
- ACWI米国比率は63%→64%へ反発。「地殻変動」の判断はまだ早い
- 過去38年では S&P500 が24勝14敗、累積 ×29.3倍 vs ×11.2倍と長期は米国が圧倒
- 結論:1ヶ月で主役が入れ替わる相場。結果論で勝者を追わず、決めた投資を続けることが何より大事
※本記事は公開データを集計した参考情報であり、特定銘柄の投資推奨ではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。データ出典:MSCI ACWI 指数(^892400-USD-STRD)/S&P500 指数(^GSPC)/各ETF/MSCI・iShares 構成国データ。Yahoo Finance ほかより取得(2026-07-31 時点)。

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