【高配当株|1Q決算シーズンに増配・増収】4746 東計電算|予想利回り7.02%の正体は保有株の売却益、本業の予想は1円も変えていない

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2026年7月から8月に増配または上方修正を発表した高配当株146社を17項目で採点したシリーズの、個別銘柄編2社目です。今回は総合1位だった4746 東計電算を、決算短信と適時開示の数字で掘り下げます。

結論

  • 予想配当利回りは7.02%。ただし前期実績の配当173円で計算した利回りは2.55%しかありません。差は今期だけの特別な配当です。
  • 会社は8月3日に通期予想を修正しましたが、売上・営業利益・経常利益は1円も動かしていません。増えたのは当期純利益だけ(+56.3%)。理由は保有する投資有価証券の売却益43億円です。
  • 今期の配当性向は99.7%。利益をほぼ全額配ります。売却益を除いた本業の利益だけなら配当性向は156%で、賄えません。
  • ただし本業は堅調です。中間期は経常+14.4%、四半期ベースでは13四半期連続の増益。9期連続増収、自己資本比率79.6%、実質無借金です。

どんな会社か

独立系の情報処理サービス(データセンター運用・システム開発・BPO)を手がける会社です。東証スタンダード上場、決算期は12月、従業員820人、2000年3月上場。二次請けをせず一次請けだけを受ける「完全内製」を掲げ、業種ごとに専任体制を敷いているのが特徴です。物流・通販向けのシステムに実績があります。

株価は6,790円、時価総額はおよそ1270億円。PER14.2倍、PBR2.11倍、ROE11.87%、ROA9.52%です。

19年の実績:9期連続増収

売上高と経常利益(2007〜2025年12月期) 9期連続増収
売上高と経常利益(2007〜2025年12月期) 9期連続増収

2007年12月期の売上高110億円が、2025年12月期には208億円になりました。年平均では5%弱と派手ではありませんが、リーマン・ショック後の2009〜2011年を除けば減収がほとんどなく、直近は9期連続の増収です。

目を引くのは利益率です。経常利益は19億円から73億円へ3.8倍になり、売上の伸び(1.9倍)を大きく上回りました。2025年12月期の営業利益率は30.1%。情報処理サービスとしてはかなり高い水準です。

四半期の経常利益と前年同期比 13四半期連続で増益
四半期の経常利益と前年同期比 13四半期連続で増益

直近を四半期で切ると、経常利益は13四半期連続で前年同期を上回っています。2026年4〜6月期は21.1億円で+21.1%。中間期累計でも経常+14.4%と、本業の勢いは落ちていません。

8月3日の修正で何が起きたか

通期予想の修正 本業は1円も動かさず、純利益だけ+56.3%
通期予想の修正 本業は1円も動かさず、純利益だけ+56.3%

ここが今回の中心です。会社は8月3日に2026年12月期の通期予想を修正しました。修正の中身を並べます。

項目 修正前(5月7日) 修正後(8月3日) 増減率
売上高 21,884百万円 21,884百万円 ±0%
営業利益 6,825百万円 6,825百万円 ±0%
経常利益 7,879百万円 7,879百万円 ±0%
当期純利益 5,501百万円 8,601百万円 +56.3%

売上も営業利益も経常利益も、1円も変わっていません。動いたのは当期純利益だけで、+3,099百万円です。

理由は同日に開示された投資有価証券の売却です。会社は「株式市場の活況で投資有価証券が総資産に占める規模が増加。資本効率の向上を図るため一部を売却し株主還元の充実に充てる」として、保有する上場株式の一部を2026年8月〜12月に売却し、売却益4,300百万円を特別利益に計上する見込みだと発表しました。経常利益より下に入る利益なので、経常利益は動かず純利益だけが増える、という形になります。

なぜ総資産の8割が「投資その他の資産」なのか

総資産の8割近くが投資その他の資産(保有株式など)
総資産の8割近くが投資その他の資産(保有株式など)

この会社の貸借対照表は独特です。2025年12月末の総資産63,236百万円のうち、投資その他の資産が48,652百万円(77%)を占めます。10年前は総資産228億円のうち115億円でしたから、金額は4.2倍に膨らみました。

中身の多くは純投資として持っている上場株式です。株式市場が上がれば会社の総資産も増えます。実際、2026年中間期の包括利益は9,489百万円で前年同期比+209.5%。純利益2,927百万円の3倍以上あり、差額のほとんどは保有株の含み益です。総資産も半年で63,235百万円から72,798百万円へ増えました。

会社が今回「投資有価証券が総資産に占める規模が増加した」「資本効率の向上を図る」と説明しているのは、この状態を指しています。ROE11.87%に対してROIC7.63%と差があるのも、事業に使っていない資産が大きいためです。

配当173円 → 476.50円の中身

配当173円 → 476.50円 増えたのは期末配当だけ
配当173円 → 476.50円 増えたのは期末配当だけ

配当予想も同日に修正されました。株式分割前の換算で並べると次のとおりです。

  • 前期実績(2025年12月期):中間62.5円 + 期末110.5円 = 173.0円
  • 当初予想(5月7日):中間86.50円 + 期末86.50円 = 173.00円
  • 修正後(8月3日):中間86.5円 + 期末390.0円 = 476.5円

中間配当は当初予想どおりの86.50円で、すでに支払いが決まっています。増えたのは期末配当だけで、86.50円から390.00円へ4.5倍になりました。

配当性向 57.9% → 99.7% 本業だけなら156%
配当性向 57.9% → 99.7% 本業だけなら156%

今期予想EPS478.0円(分割前換算)に対して配当476.5円なので、配当性向は99.7%。利益をほぼ全額配る計算です。前期は57.9%でした。

さらに、売却益を除いた修正前の予想EPS305.6円で計算すると、配当性向は155.9%になります。本業の利益だけでは配当を賄えないということです。

つまり予想配当利回り7.02%は、今期かぎりの株式売却益を原資にした配当を前提にした数字です。前期実績の173円で計算した利回りは2.55%。来期に同じ売却を繰り返さなければ、配当は前期水準に近いところへ戻る可能性があります。

株式分割にも注意

同じ8月3日に株式分割も発表されています。1株 → 4株、基準日2026年9月30日、効力発生日2026年10月1日です。発行済株式数は18,700,000株から74,800,000株になります。

注意点は、2026年12月期の期末配当は分割後の株式が対象だということです。会社の開示では期末配当を「1株あたり97円50銭(分割前換算390円)」と書いています。分割後の1株について97.50円が支払われるので、分割前から持っている人は4株分=390円を受け取る計算になります。証券サイトの表示が分割前基準か分割後基準かで数字が4倍違うので、見比べるときは基準をそろえてください。

本業とキャッシュフロー

営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー(10期)
営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー(10期)

営業キャッシュフローは10期すべて黒字で、フリーキャッシュフローも10期すべてプラスです。2025年12月期は営業CF6,401百万円と過去最高でした。中間期の自己資本比率は79.6%、有利子負債はほぼなく、ネットD/Eレシオはマイナスで実質無借金です。

財務にも本業にも不安はありません。今回の論点は「業績が悪いかどうか」ではなく、表示されている利回りが何を原資にしているかという一点です。

株価はすでに大きく上がっている

株価の推移(月足6年) 5年で約2.8倍
株価の推移(月足6年) 5年で約2.8倍

株価は5年で+176.8%、1年で+66.8%。12ヶ月移動平均の傾きも+14.7%で上向きです。前回の採点で株価の項目が最高評価だったのはこのためです。52週の株価水準でも高い位置にあります。

本業の成長率(売上5%前後)に対して株価がここまで上がった背景には、保有株式の含み益の増加と、今回のような株主還元の強化があります。裏を返せば、還元の原資が一巡したときにどうなるかは、まだ試されていません。

17項目の採点結果

本シリーズの採点では、加点24点・減点-1点で総合23点、146社中1位でした。減点は2011年の減配1回だけです(判定年数18年)。

項目 評価 根拠
①売上高 10年CAGR 4.9% / 直近4期 5.7%
②EPS 10年CAGR 12.3% / 直近4期 16.2%
③営業利益率 30.1%
④自己資本比率 79.6%
⑤営業CF 赤字0回・増加傾向
⑥現金等 10年で1.88倍/現金比率4.44%
⑦配当金 連続増配12期
⑧配当性向 57.7%(前期実績ベース)
⑨株価の推移 5年+176.8% / 1年+66.8% / トレンド上昇

なお⑥現金等が○にとどまっているのは、現金そのものは総資産の4.44%しかないためです。この会社の余剰資金は現金ではなく有価証券の形で持たれており、その点は採点に反映しきれていません。

確認しておきたいこと

  1. 売却益が予定どおり43億円出るか。 売却時期は2026年8〜12月です。会社は「確定して適時開示が必要になれば速やかに知らせる」としています。
  2. 来期の配当をいくらにするか。 ここが最大の論点です。売却益が一巡した後も高い水準を続けるのか、前期並みに戻すのか。2027年2月上旬の本決算で分かります。
  3. 売却を続けるのか。 会社は「今後もROE向上を目指しつつ、市場環境や業績、資本効率等を勘案し適宜見直す」と書いています。保有株はまだ48,652百万円あるので、継続的な還元原資になる可能性は残ります。

動画版

同じ内容を20分の動画にまとめています。

https://youtu.be/aT_U9iDyJd8

データ出所

  • 令和8年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2026-08-03/TDnet)
  • 投資有価証券売却に伴う特別利益計上見込み及び通期業績予想の修正及び配当予想の修正(増配)(2026-08-03/TDnet)
  • 株式分割及び定款の一部変更に関するお知らせ(2026-08-03/TDnet)
  • 長期業績・四半期業績・キャッシュフロー・各種指標の確認(2026-08-26時点/マネックス証券 銘柄スカウター)
  • 株価・予想配当利回り(2026-08-26時点/銘柄スカウター/Yahoo!ファイナンス)

本記事は公開情報を集計・整理したものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。配当・業績の数値は各出所の公表時点のもので、その後の開示により変わることがあります。1株あたりの数値は断りのない限り株式分割前の換算です。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

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