指数に採用された銘柄は「買い」なのか?日経225・S&P500・オルカン・JPX400で全部調べてみた

分析

「〇〇がS&P500に採用!」「日経平均に新規入り!」みたいなニュース、流れた瞬間に「とりあえず買い?」って思いますよね。でも実際のところ、採用効果ってホントに儲かるのか?

2024年〜2025年前半に4つの主要指数(日経225 / S&P500 / MSCI ACWI日本株 / JPX日経400)に新規採用された銘柄を全部調べて、採用日の前1年と後1年の株価推移を整理してみました。結論からいうと、思ったほど単純じゃありません。

結論を先に3行で

  • 1980〜90年代:採用発表で+3〜7%の鉄板パターンが存在した
  • 2010年代以降:効果がほぼ消失(学術用語で「Disappearing Index Effect」)
  • 採用後1年は二極化:継続上昇する銘柄と、採用がピークシグナルになる銘柄に分かれる

1. 学術研究の話(できるだけ短く)

Bennett-Stulz-Wang (2020) や Greenwood & Sammon (2022) という有名な研究があって、S&P500の採用効果(発表時の異常リターン)はこんな推移をしてます。

時代採用発表時の異常リターン
1980年代+3%程度
1990年代+7.4%(ピーク)
2000年代+5.2%
2010年代以降+1%未満(統計的に有意でない)

理由はシンプルで、みんな採用予想を事前に当てるようになったから。クオンツファンドが先回りで買って、パッシブファンドも事前ヘッジするので、発表時点では既に織り込み済み。古典的な「採用発表で買い」戦略はもう機能しないんですね。

2. 日経225(2024年10月〜2025年4月採用)

銘柄採用日採用前1年採用後1年
野村総研(4307)2024/10/1+30〜40%+10〜25%
良品計画(7453)2024/10/1+45〜55%+55〜65%
ベイカレント(6532)2025/4/1+10〜20%-10〜+10%

良品計画は無印良品の国内・中国売上が好調で、採用関係なく業績が爆伸び。時価総額1兆円突破まで一気に走りました。

逆にベイカレントは事前期待で買われすぎ。SMBC日興のクオンツが採用予想を出した時点から年初来+21%上昇、採用直後に9,075円の高値をつけてから決算ミスで大幅調整。「織り込み済みで反落」の典型パターンです。

3. MSCI ACWI 日本株(オルカン採用銘柄)

銘柄実施日採用前1年採用後1年
フジクラ(5803)2024/11/25+450%+160%
アシックス(7936)2024/5/31+90%+71%
IHI(7013)2025/5/30+250%+10〜30%
SCREEN HD(7735)2024/2/29+178%-46%
KOKUSAI(6525)2024/8/30-50%
サンリオ(8136)2025/5/30+200%-40%
東京メトロ(9023)2025/2/28-6%

フジクラはAI/データセンター需要で爆騰中。採用「発表」までの1年で株価が約5倍になっていて、MSCI採用は完全に「結果」のシグナル。アシックスもインバウンド/ランニングブームで継続上昇、と「業績モメンタム組」は採用後も伸びてます。

一方でサンリオ・SCREEN HDは採用直後がピーク。サンリオは2025年8月に高値1,737円をつけた後、インバウンドピークアウト+中国減速で半額以下に。「採用される頃には既にピーク」というパターンもけっこうあります。

4. S&P500(米国株、2024年採用)

ティッカー社名実施日採用後1年リターン
PLTRPalantir2024/9/23+340%(2024) / +135%(2025)
VSTVistra(電力)2024/5/8+258%(2024年)
GEVGE Vernova2024/4/2+132%
CRWDCrowdStrike2024/6/24+42%(障害事件あり)
DELLDell2024/9/23+13%
DECKDeckers2024/3/18-15%
KKRKKR2024/6/24-15%
ERIEErie Indemnity2024/9/23-37%
WDAYWorkday2024/12/23-38〜-49%
GDDYGoDaddy2024/6/24-55%
SMCISuper Micro2024/3/18-50〜65%

S&P500は7勝7敗ぐらいで、むしろ負け銘柄の方が目立ちます。PalantirやVistraみたいなAIテーマ株は爆騰したけど、Super MicroやWorkdayは半額近くまで沈没。「採用したら下がる」というBennett-Stulz-Wang (2020) のunderperformance hypothesisが見事に再現されてる感じです。

特にSuper Microは2024年3月の採用前後がピーク。空売りレポート、会計監査人辞任、内部告発と続いて、市場価値約500億ドルが消失。「採用がピークシグナル」の最強の例ですね。

5. JPX日経400(2024年8月採用、株価判明7銘柄)

JPX400は2024年8月に44銘柄が一括で新規採用。代表的な銘柄を月末終値ベースで追ってみました(株式分割調整済み、出所:Yahoo!ファイナンス)。
TOPIXは同期間 +16.3% → +13.4%。

銘柄採用前1年採用後1年採用後 対TOPIX
サンリオ(8136)+47.0%+107.3%+93.9pt
西武HD(9024)+103.7%+70.4%+57.0pt
京浜急行(9006)-14.0%+34.1%+20.7pt
JR東海(9022)-9.6%+16.1%+2.6pt
キヤノン(7751)+39.8%-13.3%-26.7pt
三菱自動車(7211)-27.2%-2.5%-15.9pt
オリエンタルランド(4661)-24.0%-11.8%-25.1pt

サンリオはJPX400/MSCI ACWI/JPX日経400と三冠王みたいな状態だったんですが、JPX400採用後の1年だけ見ると+107.3%とまだピーク前。インバウンド・キャラクター事業の業績拡大が指数採用の「結果」だったケースです。

逆にキヤノン・三菱自動車・OLCは採用後にTOPIXを大幅アンダーパフォーム。「採用前+39.8% → 採用後-13.3%」のキヤノンとか、見事なフェード/反転パターンですね。

6. 4指数まとめて見ると

指数事前織込み近年の採用効果
日経225強い短期スパイクは残存
MSCI ACWI日本中程度短期スパイクあり
S&P500非常に強いほぼ消失
JPX400強い減衰傾向(でも「除外=恥」効果は残る)

7. 結局どう投資すればいいの?

  • 「採用された瞬間に飛びつく」戦略はもう機能しない(事前織り込み済み)
  • 採用前から業績モメンタムがある銘柄は採用後も継続上昇しやすい(フジクラ、Palantir、西武HD、良品計画など)
  • 「採用がピークシグナル」になる銘柄も多い(特にAI/インバウンド/原子力テーマで過熱した銘柄)
  • 結局はファンダメンタルズ次第。「採用」だけを理由に買うのは危険

「採用されたから買う」ではなく、「業績がいいから採用される銘柄」を採用される前に見つけるのが正解。クオンツファンドはそれをやってるので、個人投資家としては「採用発表」より「採用予想レポート」を読み込むのが効率的かもしれません。

あるいは逆張りで、「採用直後の銘柄を空売り対象として観察」というのも、SMCIやサンリオの例を見ると意外と機能しそうです。

※本記事のリターン数値は年次/月次データを基にした概算です。配当を除く価格リターン(プライス・リターン)で、トータルリターンではありません。投資判断はご自身の責任で。

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