【2026年8月】日本株 高配当ランキングTOP30|122銘柄を9指標で採点、記念配当と希薄化を除いた実質評価

分析

マネックス証券の「銘柄スカウター」で全上場銘柄をスクリーニングし、残った122銘柄を9つの指標で採点して上位30銘柄を選びました。単に利回りが高い銘柄を並べるのではなく、記念配当・一過性利益・株式の希薄化を除いた「実質ベース」で評価している点が本記事の特徴です。

実際、検証の過程で「表面利回り5.35%が実質3.70%だった銘柄」「基礎点1位が公募増資の希薄化で10位に落ちた銘柄」「今期マイナス62.5%の大減益に見えて実は前期が一過性で膨らんでいただけの銘柄」が見つかりました。数字をそのまま信じると順位が大きく変わります。

スクリーニング条件

全上場銘柄から、次の9条件をすべて満たす銘柄を抽出しました。該当したのは122銘柄です。

  • 予想配当利回り 3.5%以上
  • 配当性向 20〜60%
  • 自己資本比率 50%以上
  • 増収回数(10年) 6回以上
  • 営業増益回数(10年) 6回以上
  • 当期増益回数(10年) 6回以上
  • 連続増配 2期以上
  • PBR 2.0倍以下
  • 予想PER 20倍以下

採点の考え方

スクリーニングの条件と、この後の採点項目は、ライオンのアイコンで知られる投資系YouTuberが提唱している高配当株の選び方を下敷きにしています。売上・EPS・営業利益率・自己資本比率・営業CF・現金・1株配当・配当性向という8つの視点で企業を見るという考え方で、そこに株価(利回り・PER・PBR)を加えて9つの観点に整理しました。

抽出した122銘柄を、次の11項目で◎3点/○2点/△1点/×0点の33点満点で採点しました。

指標 使用データ
①売上高 増収回数(10年)
②EPS 当期増益回数(10年)
③収益性 営業増益回数(10年)
④自己資本比率 自己資本比率
⑤営業CF 10年の営業CF赤字回数と増減
⑥現金等 現金及び現金同等物の10年倍率
⑦1株配当 連続増配年数
⑧配当性向 配当性向
⑨株価 実質配当利回り・予想PER・PBR

そのうえで上位35銘柄については、次の4点を個別に調べて加減点しています。

  • 株式の希薄化:発行済株式数の3年変化(増資はマイナス2点、株数減少はプラス1点)
  • 実質配当:記念配当・特別配当を除いた普通配当で利回りを再計算
  • 決算の進捗:今期の進捗率と前期同期の進捗率の比較(マイナス5ポイント以下でマイナス1点、1Q経常赤字でマイナス2点)
  • ガイダンスのクセ:前期の通期着地率(105%以上の保守的でプラス1点、95%未満の未達でマイナス1点)

TOP30ランキング

高配当株TOP10 実質配当利回りと総合スコア
TOP10の実質配当利回りと総合スコア
順位 コード 銘柄名 業種 株価 実質
利回り
PER PBR 自己資本
比率
スコア 補正の理由
1 9368 キムラユニティー 倉庫・運輸 920円 4.13% 9.8倍 0.85倍 62.1% 28 着地106.8%(保守的)
2 7595 アルゴグラフ 情報・通信 1,323円 4.91% 12.6倍 1.92倍 60.3% 27 株数減-10.5% / 予想性向61.9%
3 9658 BB太田昭和 情報・通信 1,055円 4.45% 12.0倍 1.11倍 63.4% 27 株数減-8.7%
4 5363 東京窯業 ガラス土石 693円 4.42% 6.8倍 0.61倍 70.4% 27
5 4662 フォーカスS 情報・通信 1,702円 4.00% 10.1倍 1.70倍 64.6% 27 進捗-8.8pt / 着地115.3%(保守的)
6 4362 日本精化 化学 2,636円 3.95% 11.0倍 1.12倍 78.5% 27 株数減-6.1%
7 9753 アイエックスナレ 情報・通信 1,337円 3.74% 7.9倍 1.10倍 70.9% 27 着地107.6%(保守的)
8 9799 旭情報サービス 情報・通信 927円 3.67% 11.6倍 1.16倍 79.9% 27 株数減-2.1%
9 1879 新日本建設 建設 2,248円 3.56% 7.5倍 0.97倍 72.6% 27 着地110.5%(保守的)
10 2153 EJH サービス業 1,739円 4.72% 8.4倍 0.78倍 71.0% 26 希薄化+14.3% / 着地94.6%(未達)
11 7989 立川ブラインド 金属製品 2,617円 4.59% 16.0倍 0.91倍 83.2% 26 進捗+9.6pt / 予想性向73.4%
12 2301 学情 サービス業 1,641円 4.57% 11.0倍 1.50倍 86.9% 26 進捗-10.4pt / 着地110.6%(保守的)
13 7849 スターツ出版 情報・通信 2,978円 4.37% 11.0倍 1.05倍 83.5% 26 進捗+8.4pt / 着地75.6%(未達)
14 4752 昭和システムE 情報・通信 1,550円 3.94% 9.2倍 1.13倍 63.0% 26 着地106.6%(保守的)
15 7438 コンドーテック 卸売業 1,560円 3.72% 11.8倍 1.03倍 55.7% 26
16 7292 村上開明堂 輸送用機器 6,570円 3.65% 12.9倍 0.80倍 77.6% 26 株数減-7.6% / 着地111.9%(保守的)
17 1381 アクシーズ 水産・農林 3,385円 3.55% 10.6倍 0.79倍 84.6% 26 着地117.1%(保守的)
18 7994 オカムラ その他製品 2,328円 4.51% 10.4倍 1.08倍 67.6% 25
19 2335 キューブシステム 情報・通信 1,071円 4.30% 10.8倍 1.46倍 76.5% 25 着地189.8%(保守的)
20 8935 FJネクストH 不動産業 1,942円 4.12% 6.1倍 0.76倍 71.2% 25 進捗+16.4pt
21 9028 ゼロ 陸運 3,515円 4.03% 8.1倍 1.24倍 62.3% 25
22 9039 サカイ引越 陸運 2,958円 3.96% 13.6倍 1.18倍 76.8% 25
23 9795 ステップ サービス業 2,250円 3.91% 12.7倍 1.27倍 89.7% 25
24 1384 ホクリョウ 水産・農林 2,075円 3.86% 7.7倍 1.00倍 74.9% 25
25 9306 東陽倉庫 倉庫・運輸 2,010円 3.73% 13.1倍 0.51倍 57.8% 25
26 3947 ダイナパック パルプ・紙 2,418円 3.72% 6.9倍 0.48倍 55.2% 25
27 9857 英和 卸売業 2,611円 3.68% 8.9倍 0.86倍 57.9% 25 進捗+7.3pt
28 2924 イフジ産業 食料品 1,932円 3.57% 7.8倍 1.24倍 66.7% 25 進捗-14.3pt / 着地106.6%(保守的)
29 5356 美濃窯業 ガラス土石 1,274円 4.08% 9.3倍 0.81倍 70.8% 24 着地91.3%(未達)
30 2130 メンバーズ サービス業 922円 3.80% 6.8倍 1.98倍 52.0% 24 1Q経常赤字 / 着地118.1%(保守的)

株価・指標はマネックス証券「銘柄スカウター」の2026年8月12日時点。スコアは33点満点に補正を加えたものです。

TOP10 個別分析

1位 9368 キムラユニティー(東ス・倉庫・運輸)

車両物流と自動車部品の加工・組立が主力。トヨタ系の物流を長年担う名古屋の企業です。

株価 920円 実質配当利回り 4.13%
予想PER 9.8倍 PBR 0.85倍
自己資本比率 62.1% 配当性向(実績) 43.6%
連続増配 8期 今期予想配当 34円→38円
10年の増収回数 7回 10年の当期増益回数 7回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 2.10倍
直近決算 7月30日 第1四半期 今期進捗率 27.8(前期同期比+4.5pt)
前期の通期着地率 106.8% 発行済株式数(3年) +0.00%

評価できる点
10年で減収は2回にとどまり、営業増益7回・当期増益7回と安定しています。営業CFは10年間で一度も赤字がなく、現金及び現金同等物は5,382→11,328百万円と2.1倍に増えました。PBR0.85倍・PER9.8倍と割安圏にあり、前期は会社予想に対し106.8%で着地しているためガイダンスは保守的です。1Qの進捗27.8%も前期同期の23.3%を上回っています。

注意すべき点
自己株式を発行済株式数の12.7%も保有しながら消却していない点です。将来これが第三者割当や株式交換の対価に使われれば既存株主の持分は薄まります。連続増配10期と長い一方、増収回数は7回とやや物足りません。

2位 7595 アルゴグラフ(東プ・情報・通信)

CADやPLMなど設計支援システムの専門商社兼SIです。製造業の開発現場が顧客基盤になります。

株価 1,323円 実質配当利回り 4.91%
予想PER 12.6倍 PBR 1.92倍
自己資本比率 60.3% 配当性向(実績) 30.4%
連続増配 5期 今期予想配当 80円→65円
10年の増収回数 9回 10年の当期増益回数 9回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 2.59倍
直近決算 7月31日 第1四半期 今期進捗率 22.7(前期同期比-0.1pt)
前期の通期着地率 100.8% 発行済株式数(3年) -10.53%

評価できる点
10年で増収9回・営業増益9回・当期増益9回と、減収減益がほとんどありません。実質配当利回り4.91%はTOP30で最高です。2025年6月に発行済株式数の10.5%を消却しており、株数削減の実績はTOP30で最大です。

注意すべき点
今期の当期利益予想は-62.5%ですが、これは前期にあった大型の特別利益の反動です。前期は経常利益114億円に対し当期利益192億円と1.68倍で、TOP30で唯一の大型一過性利益でした。実力ベースのEPSは2025年3月期87.39円→2027年3月期予想104.76円と伸びており、業績が崩れているわけではありません。ただし配当を80円→65円に減らしてなお予想配当性向は61.9%と高く、次の増配余地は乏しいと見られます。PBR1.92倍もTOP30で最も高い水準です。

3位 9658 BB太田昭和(東プ・情報・通信)

会計・人事など基幹業務システムのSIです。NECグループとの関係が深い企業です。

株価 1,055円 実質配当利回り 4.45%
予想PER 12.0倍 PBR 1.11倍
自己資本比率 63.4% 配当性向(実績) 48.9%
連続増配 10期 今期予想配当 45円→47円
10年の増収回数 9回 10年の当期増益回数 8回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 3.12倍
直近決算 5月14日 本決算 今期進捗率 104.7(前期同期比+0.0pt)
前期の通期着地率 104.7% 発行済株式数(3年) -8.72%

評価できる点
2025年8月に発行済株式数の8.7%を消却しました。営業CFは10年間赤字ゼロで202→4,489百万円と大幅に改善し、現金も3.1倍に増えています。増収9回・当期増益8回と実績も安定しています。

注意すべき点
PER12.0倍・PBR1.11倍で割安感は限定的です。2026年4月に1対3の株式分割を実施しているため、過去の指標と比較する際は調整後の数値で見る必要があります。

4位 5363 東京窯業(東ス・ガラス土石)

耐火物の大手です。鉄鋼・セメント業界向けが主力で、新素材分野にも展開しています。

株価 693円 実質配当利回り 4.42%
予想PER 6.8倍 PBR 0.61倍
自己資本比率 70.4% 配当性向(実績) 30.0%
連続増配 5期 今期予想配当 25円→30円
10年の増収回数 7回 10年の当期増益回数 8回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 1.86倍
直近決算 8月12日 第1四半期 今期進捗率 29.3(前期同期比-2.3pt)
前期の通期着地率 99.3% 発行済株式数(3年) +0.00%

評価できる点
PER6.8倍・PBR0.61倍はTOP30で最も割安です。自己資本比率70.4%、営業CFは10年間赤字ゼロ、現金は1.86倍に増えています。配当性向30%を中期経営計画で明文化し、実績も忠実に30.0%で運用しています。8月12日に発表された1Qの進捗率は29.3%でした。

注意すべき点
今期の当期利益+21.1%は、東北特殊鋼のTOB関連で計上する投資有価証券売却益20.97億円が主因です。経常利益ベースでは-2.3%の減益予想であり、実力ベースの増益ではありません。営業利益は10年で4回減少しており、前期も-23.6%の大幅減益でした。中期経営計画の2028年度目標(売上440億円・営業58億円)に対する進捗も緩慢です。

5位 4662 フォーカスS(東プ・情報・通信)

公共・公安系に強い独立系SIです。官公庁向けの比率が高いのが特徴です。

株価 1,702円 実質配当利回り 4.00%
予想PER 10.1倍 PBR 1.70倍
自己資本比率 64.6% 配当性向(実績) 41.1%
連続増配 5期 今期予想配当 64円→68円
10年の増収回数 10回 10年の当期増益回数 9回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 1.90倍
直近決算 8月7日 第1四半期 今期進捗率 24.2(前期同期比-8.8pt)
前期の通期着地率 115.3% 発行済株式数(3年) +0.00%

評価できる点
10年間で減収ゼロ・営業減益ゼロ・当期減益ゼロという、122銘柄で唯一の銘柄です。売上は178億→357億円(年率8.0%)、EPSは37.6円→159.3円(年率17.4%)と一貫して伸びています。前期は会社予想に対し115.3%で着地し、業績予想の修正開示が7年以上ゼロという保守的なガイダンス運用です。2025年12月から2026年2月に発行済株式数の3.17%を自社株買いし、総還元性向は79.2%に達しました。

注意すべき点
1Qの経常進捗24.2%は前期同期の33.0%から-8.8ポイント低下しました。ただし前期のハードルが高すぎた面もあります。エンタープライズ事業で大型案件の進捗遅れによるコスト増が発生しています。上位3社で売上の39.8%を占める顧客集中も構造的なリスクです。

6位 4362 日本精化(東プ・化学)

化粧品原料や医薬品原料などの機能性化学品メーカーです。ニッチ分野で高いシェアを持ちます。

株価 2,636円 実質配当利回り 3.95%
予想PER 11.0倍 PBR 1.12倍
自己資本比率 78.5% 配当性向(実績) 48.4%
連続増配 9期 今期予想配当 98円→104円
10年の増収回数 7回 10年の当期増益回数 9回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 1.95倍
直近決算 7月29日 第1四半期 今期進捗率 26.8(前期同期比+2.5pt)
前期の通期着地率 97.2% 発行済株式数(3年) -6.11%

評価できる点
2025年10月に発行済株式数の6.1%を消却しました。当期増益9回・連続増配9期と配当の継続性が高く、営業CFは10年間赤字ゼロで2,851→6,814百万円、現金も1.95倍に増えています。今期予想も売上+10.7%・経常+7.7%と素直な増収増益です。

注意すべき点
PER11.0倍・PBR1.12倍で、割安とまでは言えません。前期の通期着地は97.2%と会社予想にわずかに届きませんでした。

7位 9753 アイエックスナレ(東ス・情報・通信)

独立系のシステム開発会社です。金融・公共向けが中心です。

株価 1,337円 実質配当利回り 3.74%
予想PER 7.9倍 PBR 1.10倍
自己資本比率 70.9% 配当性向(実績) 27.9%
連続増配 2期 今期予想配当 50円→50円
10年の増収回数 6回 10年の当期増益回数 9回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 2.12倍
直近決算 8月7日 第1四半期 今期進捗率 28.2(前期同期比-2.3pt)
前期の通期着地率 107.6% 発行済株式数(3年) +0.00%

評価できる点
PER7.9倍と割安で、前期は会社予想に対し107.6%で着地する保守的なガイダンスです。営業増益9回・当期増益9回と収益の継続性が高く、営業CFは10年間赤字ゼロで588→1,558百万円に増えています。

注意すべき点
自己資本比率70.9%と財務は十分ですが、株数の削減実績がありません。今期の当期利益予想は-5.8%とわずかに減益で、連続増配も2期と短いのが弱点です。

8位 9799 旭情報サービス(東ス・情報・通信)

システムエンジニアの派遣と受託開発を手がけます。技術者数が業績を左右するビジネスです。

株価 927円 実質配当利回り 3.67%
予想PER 11.6倍 PBR 1.16倍
自己資本比率 79.9% 配当性向(実績) 41.3%
連続増配 3期 今期予想配当 34円→34円
10年の増収回数 10回 10年の当期増益回数 10回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 1.31倍
直近決算 8月7日 第1四半期 今期進捗率 19.3(前期同期比+2.9pt)
前期の通期着地率 98.4% 発行済株式数(3年) -2.12%

評価できる点
増収10回・営業増益10回・当期増益10回と、10年間で一度も減収減益がない稀有な銘柄です。自己資本比率79.9%と財務は極めて健全で、2026年6月に発行済株式数の2.1%を消却しています。

注意すべき点
実質配当利回り3.67%はTOP10で低い部類です。今期の当期利益予想は-4.7%と小幅減益で、前期着地98.4%も会社予想をわずかに下回りました。

9位 1879 新日本建設(東プ・建設)

千葉を地盤とするマンション分譲と建設会社です。分譲と請負の両輪で展開しています。

株価 2,248円 実質配当利回り 3.56%
予想PER 7.5倍 PBR 0.97倍
自己資本比率 72.6% 配当性向(実績) 25.7%
連続増配 5期 今期予想配当 67円→80円
10年の増収回数 8回 10年の当期増益回数 8回
営業CF赤字(10年) 0回 現金の10年倍率 1.56倍
直近決算 7月31日 第1四半期 今期進捗率 15.6(前期同期比-4.4pt)
前期の通期着地率 110.5% 発行済株式数(3年) +0.00%

評価できる点
PER7.5倍・PBR0.97倍と割安です。前期は会社予想に対し110.5%で着地する保守的なガイダンスで、今期予想も売上+12.7%・営業+25.0%と力強い内容です。営業CFは10年間赤字ゼロで11,413→17,244百万円、現金は35,048→54,824百万円と1.56倍に増えています。

注意すべき点
1Qの進捗15.6%は前期同期の20.0%から-4.4ポイント低下しました。不動産・建設は期末偏重が強く単純比較はできませんが、金利上昇局面の影響は注視が必要です。実質配当利回り3.56%は抽出条件の下限に近い水準です。

10位 2153 EJH(東プ・サービス業)

建設コンサルタントの大手です。防災・減災やインフラ老朽化対策が追い風になっています。

株価 1,739円 実質配当利回り 4.72%
予想PER 8.4倍 PBR 0.78倍
自己資本比率 71.0% 配当性向(実績) 36.4%
連続増配 9期 今期予想配当 69円→82円
10年の増収回数 9回 10年の当期増益回数 7回
営業CF赤字(10年) 1回 現金の10年倍率 2.26倍
直近決算 7月14日 本決算 今期進捗率 94.6(前期同期比+0.0pt)
前期の通期着地率 94.6% 発行済株式数(3年) +14.30%

評価できる点
10年で減配ゼロ・9期連続増配で、DOE3.0%以上の累進配当を株主総会の招集通知に明記しています。売上は229.78億→465.86億円(年率8.2%)とTOP30で最速の成長です。現金は10,589→23,911百万円と2.26倍に増えました。補正前の基礎スコアは29点で、122銘柄中の最高点でした。

注意すべき点
2025年5月から7月にかけて公募増資2,000,000株とオーバーアロットメント300,000株を実施し、発行済株式数が16,078,920株→18,378,920株(+14.3%)に増えました。実報告EPSは204.06円→189.35円と下落しており、売上が伸びてもEPSが伸びない状態です。さらに前期は会社予想に対し94.6%で着地し計画未達でした。この2点で基礎29点から3点減点となり、単独首位から10位へ後退しています。

検証で見つかった3つの落とし穴

1. 表面利回りに記念配当が混ざっている

今期の予想配当が前期比プラス15%以上だった25銘柄をすべて調べたところ、5銘柄で記念配当・特別配当が含まれていました。最も差が大きかったのは日本ライフライン(7575)で、表面5.35%に対し実質は3.70%です。年81円のうち25円がメーカー化25周年の記念配当で、普通配当は56円でした。乖離は1.65ポイントに達します。

ケイヒン(9312)も表面4.89%に対し実質3.84%でした。年140円のうち30円が特別配当です。この2銘柄は実質利回りで採点した結果、TOP30から外れています。

一方で、大幅増配だった7銘柄は配当方針の引き上げによる恒常的な増配でした。立川ブラインド(7989)はDOE4.0%を下限として1株120円以上をコミットし、都築電気(8157)は配当性向の目安を40%から60%へ引き上げています。「配当が急増した=記念配当を疑う」という先入観は、実際には外れる方が多いという結果でした。

2. 増資による希薄化はEPSの推移からは見えない

これが最も気づきにくい落とし穴です。銘柄スカウターやIR BANKのEPSは「株式数調整済み」で、過去に遡って現在の株数ベースに修正されます。そのため増資をしてもEPSの推移はなめらかなままで、希薄化が数字の上から消えてしまいます。

E・Jホールディングス(2153)が典型例です。各年の「純利益÷EPS」を計算すると全期間で約17.98百万株(増資後の株数)に統一されていました。しかし実際は2025年5月から7月の公募増資で発行済株式数が16,078,920株→18,378,920株(プラス14.3%)に増え、実報告EPSは204.06円→189.35円と下落しています。同社の基礎スコアは122銘柄で最高の29点でしたが、この希薄化と前期の計画未達(着地94.6%)で3点減点となり、10位に後退しました。

逆に、発行済株式数が変わっていなくても希薄化しているケースもあります。立川ブラインド(7989)は2024年11月の富士変速機の完全子会社化で、新株ではなく自己株式約1,526,000株を対価に充てました。発行済株式数は不変ですが、既存株主の持分は実質的に約8%薄まっています。

希薄化の確認には、EPSではなく決算短信の表紙にある「期末発行済株式数」の実数を見る必要があります。

3. 大減益に見えて、実は前期が一過性で膨らんでいただけ

アルゴグラフィックス(7595)の今期予想は当期利益マイナス62.5%と、数字だけ見れば業績崩壊です。しかし前期は経常利益114億円に対し当期利益192億円と1.68倍で、大型の特別利益が入っていました。実力ベースのEPSは2025年3月期87.39円→2027年3月期予想104.76円と、むしろ2年で約20%伸びています。

TOP30で経常利益と当期利益がこれほど乖離していたのは同社だけでした。ただし配当を80円から65円に減らしてなお予想配当性向は61.9%と高く、次の増配余地が乏しい点は留意が必要です。

東京窯業(5363)も今期の当期利益プラス21.1%は東北特殊鋼のTOB関連の売却益20.97億円が主因で、経常利益ベースではマイナス2.3%の減益予想です。増益の中身を経常段階で確認する習慣が要ります。

この記事の限界

  • 希薄化と決算進捗の個別調査は上位35銘柄のみ実施しています。36位以下は基礎スコアのみです。
  • 記念配当の検出は「前期比プラス15%以上の増配」をトリガーにしているため、前期と今期の両方に記念配当がある銘柄は検出できません。
  • ③収益性は営業利益率の水準ではなく「営業増益の回数」で代替しています。利益率そのものは別途の確認が必要です。
  • 進捗率は経常利益ベースです。建設業のように4Qに利益が偏る業種では、1Qの進捗率だけで良否は判断できません。

本記事は公開情報を機械的に収集・整理したものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の数値は2026年8月12日から13日時点のもので、その後の開示により変動します。投資判断はご自身の責任で、必ず最新の有価証券報告書・決算短信等の一次資料をご確認ください。

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