【下落に強い高配当株】857社をβ・過去4回の急落・戻りの速さで比較|今回下げたが決算が良い10社も

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分析

高配当株分析

日経平均は2026年10月6日の高値から11月6日までの1か月で18.7%下げ、TOPIXも10.7%下げました。こういう局面で知りたいのは「手元の高配当株はどれくらい下げに強いのか」と「下げたところで買い増すならどの会社か」です。この記事では、予想配当利回り3%以上・直近5年に減配のない857社を、β(値動きの大きさ)・過去4回の急落での下げ方・元の株価に戻るまでの速さ・直近の決算の4つの物差しで比べました。業種ごとの傾向と、急落の安値で買っていた場合の成績もまとめています。

この記事のポイント

  • 今回:日経-18.7%・TOPIX-10.7%、高配当株は-5.7%
  • βが小さい業種:小売・食料品・陸運・医薬品。大きい:銀行・電気機器
  • 過去4回の急落:安値で買えば1年後は4回ともプラス
  • 低βは下げにくいが戻りも小さい。高βは下げも戻りも大きい
  • 今回下げて決算が良い会社は、電気機器・卸売・化学に多い

動画でも解説しています

グラフを使って約22分で解説しています。

今回の下げは5年で5回目の急落

TOPIXと日経平均と5つの急落

まず、今回の下げの位置づけです。2021年6月からのTOPIXと日経平均の動きで、高値から10%以上下げた局面に赤い帯を付けました。2022年の春が-16%、2024年8月が-24%、2025年4月が-17%、2026年3月が-11%、そして今回が-11%です。TOPIXが高値の日の水準に戻るまでに、2022年は282営業日、2024年は236営業日かかりましたが、2025年4月と2026年3月は35営業日前後で戻りました。今回は日経平均の下げがTOPIXより8ポイントも大きく、値がさのハイテク株に下げが偏っているのが特徴です。

局面 高値の日 安値の日 TOPIX(%) 日経平均(%) 下げた期間(営業日) TOPIXが高値の日に戻るまで(営業日)
2022年春 2021-09-14 2022-03-08 -16.2 -19.2 116 282
2024年8月 2024-07-04 2024-08-05 -24.2 -23.1 21 236
2025年4月 2025-03-26 2025-04-07 -17.0 -18.1 8 35
2026年3月 2026-02-27 2026-03-23 -11.4 -12.5 15 33
今回 2026-10-06 2026-11-06 -10.7 -18.7 21 未回復

TOPIXはTOPIX連動ETF(1305)の終値。高値から10%以上下げた局面を、それぞれの高値の日と安値の日で区切った。今回の安値の日は記事作成時点の2026年11月6日。

今回の下げ(10月6日=100)

今回の1か月を、10月6日を100として並べました。日経平均が-18.7%、TOPIXが-10.7%に対して、高配当株857社の中央値は-5.7%にとどまっています。さらに、857社をベータの小さい順に並べた上位3割の中央値は-3.1%、ベータの大きい3割は-13.5%でした。同じ高配当株でも、値動きの大きさで今回の下げ方がはっきり分かれています。この差を、過去の急落でも確かめたのが今回の分析です。

調べ方

  • 対象:東証プライム・スタンダード、予想利回り3%以上、5年減配なし
  • 物差し1:β(直近3年の週次。TOPIXが1%動くと何%動くか)
  • 物差し2:過去4回の急落で、TOPIXより下げが小さかったか
  • 物差し3:急落の安値から、元の株価に戻るまでの営業日数
  • 物差し4:今回の下げと、直近の決算(営業利益・進捗率・修正)
  • 一覧は売買代金が1日1億円以上の420社から各10社

調べ方です。対象は東証プライムとスタンダードで、11月6日の株価で予想配当利回りが3%以上、直近5年の実績で減配がなく、今期の会社予想も減配でない857社です。物差しは4つあります。1つ目はベータで、直近3年の週ごとの値動きから、TOPIXが1%動くとその会社が何%動くかを計算しました。2つ目は過去4回の急落での下げ方、3つ目は急落の安値から高値の日の株価に戻るまでの営業日数、4つ目は今回の下げと直近の決算です。会社ごとの一覧は、買い増しのしやすさを考えて、1日の売買代金が1億円以上の420社から選んでいます。

βとは

βの意味

ベータの意味を図で見てみます。左は九州旅客鉄道、右は今回大きく下げた会社の例です。点の1つ1つが1週間で、横がTOPIXの騰落率、縦がその会社の騰落率です。点の集まりに引いた線の傾きがベータで、点線の傾き1はTOPIXと同じ動きを表します。九州旅客鉄道は0.14で、TOPIXが1%動いても平均で0.14%しか動きません。右の会社は1.6を超えていて、TOPIXの1.6倍の幅で上下します。ベータが小さいほど相場全体の下げに引きずられにくい、というのが1つ目の物差しです。ただし、ベータは会社だけの材料による値動きは表しません。

業種ごとの傾向

業種ごとのβ

業種ごとのβ

業種ごとのベータです。857社のうち5社以上ある26業種で、中央値を並べました。小さいのは小売業の0.34、食料品の0.35、陸運業の0.37、医薬品の0.41で、生活に必要なものを扱う業種が並びます。大きいのは銀行業の1.07が飛び抜けていて、電気機器0.86、輸送用機器と鉄鋼の0.83、機械の0.81が続きます。景気や金利、為替で利益が大きく動く業種です。高配当株というと値動きが穏やかな印象がありますが、業種によってはTOPIXと同じかそれ以上に動く、ということが分かります。

βと今回の下げ

業種のβと今回の騰落率

では、ベータの大きさと今回の下げ方は一致したのでしょうか。横に業種のベータ、縦に今回の騰落率の中央値を取りました。右下に行くほど、ベータが大きく今回大きく下げた業種です。銀行業は-23.1%と、TOPIXの倍以上下げました。電気機器も-16.2%です。一方、左上の陸運業は+0.6%、食料品は-0.6%、医薬品は-0.8%と、ほとんど下げていません。今回はベータの物差しがそのまま当てはまった下げ方でした。

過去4回の急落での下げにくさと戻りの速さ

業種ごとの下げにくさと戻りの速さ

過去4回の急落ではどうだったか。業種ごとに、高値の日から安値の日までの騰落率の平均を並べ、右に元の株価に戻るまでの営業日数を添えました。TOPIXの平均は-17.2%です。下げにくかったのは水産・農林業の-9.1%、医薬品の-9.4%、食料品の-10.3%でした。下げが大きかったのは輸送用機器の-20%、化学、電気機器です。面白いのは戻りの日数で、銀行業は下げは中ぐらいでも54営業日と一番早く戻っています。下げにくさと戻りの速さは、別の物差しとして見たほうがよさそうです。

業種 社数(社) β(中央値) 過去4回の急落の騰落率(平均・%) TOPIXとの差(平均・ポイント) 元の株価に戻るまで(平均・営業日) 今回の騰落率(%) 予想利回り(中央値・%)
小売業 37 0.34 -11.6 +5.6 100 -3.7 3.97
食料品 19 0.35 -10.3 +7.0 97 -0.6 3.97
陸運業 14 0.37 -12.4 +4.8 96 +0.6 3.64
医薬品 14 0.41 -9.4 +7.8 96 -0.8 3.44
パルプ・紙 6 0.45 -14.7 +2.5 146 -4.7 4.27
その他製品 32 0.45 -13.8 +3.4 110 -4.2 4.04
サービス業 85 0.47 -13.6 +3.6 98 -4.1 4.26
金属製品 31 0.47 -15.5 +1.6 135 -4.7 4.03
水産・農林業 5 0.48 -9.1 +8.1 72 -6.8 3.65
情報・通信業 82 0.50 -16.1 +1.1 93 -5.2 4.07
繊維製品 10 0.51 -12.7 +4.5 119 -2.7 3.94
倉庫・運輸関連業 11 0.51 -12.6 +4.6 96 -3.7 3.79
不動産業 47 0.52 -14.6 +2.5 127 -3.4 4.50
電気・ガス業 7 0.54 -12.4 +4.9 85 -1.5 3.13
その他金融業 17 0.57 -16.4 +0.8 112 -4.6 4.23
卸売業 88 0.64 -14.2 +3.0 106 -5.5 3.92
精密機器 10 0.64 -18.4 -1.1 68 -10.3 4.17
建設業 65 0.65 -14.2 +2.9 97 -6.0 4.05
ゴム製品 8 0.68 -17.7 -0.5 128 -2.4 3.79
化学 67 0.71 -18.9 -1.7 132 -7.6 3.84
ガラス・土石製品 16 0.73 -17.1 +0.1 127 -12.0 4.40
機械 63 0.81 -17.9 -0.7 120 -11.7 3.92
鉄鋼 5 0.83 -17.1 +0.1 90 -10.9 3.86
輸送用機器 33 0.83 -20.0 -2.8 155 -5.6 4.03
電気機器 42 0.86 -18.6 -1.4 100 -16.2 4.03
銀行業 31 1.07 -16.4 +0.8 54 -23.1 3.48

857社のうち5社以上ある26業種。値は業種内の中央値(過去4回は会社ごとの平均の中央値)。戻るまでの日数は、安値の日から高値の日の株価に戻るまでの営業日数で、250営業日で戻らなかった回は251として平均した。

一覧A:βが小さい10社

βが小さい10社

ここから会社ごとの一覧です。1つ目はベータが小さい10社です。九州旅客鉄道の0.14を筆頭に、SGホールディングス、セイノーホールディングス、静岡ガスと、0.2を下回る会社が並びました。右端の今回の騰落率を見ると、10社中7社が+で、一番下げた日本ハムでも-4.3%です。予想利回りは3.2から4.8%で、一番高いのは丸井グループの4.78%でした。TOPIXが-10.7%の1か月で、ほぼ下げなかったのがこのグループです。2社を詳しく見てみます。

会社 業種 予想利回り(%) β 過去4回のTOPIXとの差(平均・ポイント) 今回の騰落率(%)
九州旅客鉄道(9142) 陸運業 3.36 0.14 +13.0 +7.4
SGホールディングス(9143) 陸運業 3.74 0.15 +5.2 +2.7
セイノーホールディングス(9076) 陸運業 3.97 0.16 +6.3 +1.0
静岡ガス(9543) 電気・ガス業 3.35 0.16 +2.0 +4.1
イズミ(8273) 小売業 3.20 0.18 +9.4 -0.6
日本ハム(2282) 食料品 3.15 0.19 +12.6 -4.3
サンドラッグ(9989) 小売業 3.53 0.20 +7.6 +5.6
イエローハット(9882) 卸売業 4.00 0.21 +5.7 +4.5
第一興商(7458) 卸売業 3.95 0.21 +4.8 -1.7
丸井グループ(8252) 小売業 4.78 0.21 +9.6 +1.6

九州旅客鉄道(9142)

β0.14。今回は+7.4%、ただし直近の決算は営業利益-11%

九州旅客鉄道の株価と急落時の値動き

九州旅客鉄道、JR九州です。予想利回りは3.36%。左の株価は2021年6月を100にしてTOPIXと並べたもので、赤い帯が急落の期間です。右の表のとおり、2022年春は-1.4%、2024年8月は-3.1%と、TOPIXが大きく下げた時もほとんど動いていません。今回も+7.4%です。ただ、2026年3月の急落のあとは高値の日の株価に戻っておらず、TOPIXの上昇にも付いていけていません。11月4日の第2四半期決算は営業利益が前年同期比-11.3%で、最終利益の予想も下方修正しました。下げにくい代わりに、上がる力も弱い会社と言えます。

丸井グループ(8252)

β0.21・予想利回り4.78%。2022〜2025年の急落は10日以内に戻った

丸井グループの株価と急落時の値動き

丸井グループです。予想利回りは4.78%で、ベータが小さい10社の中では一番高い利回りです。過去の急落では、2024年8月に-13.1%と下げましたが、安値から10営業日で高値の日の株価に戻りました。2022年春は6日、2025年4月は3日です。ただ、2026年3月の急落のあとは、まだ高値の日の株価に戻っていません。今回は+1.6%でした。直近の決算は8月の第1四半期で、営業利益は前年同期比+10.5%。次の決算は11月10日の予定なので、その数字を確かめてから判断することもできます。

一覧B:過去4回の急落で下げにくかった10社

過去4回の急落で下げにくかった10社

2つ目の物差しは、過去4回の急落での下げ方です。1回だけ強かった会社が上に来ないように、4回ともTOPIXより下げが小さかった会社に絞り、TOPIXとの差の平均が大きい順に並べました。トップはNTTで、平均で14.9ポイント、TOPIXより下げが小さく、2022年春と2026年3月はむしろ上がっていました。九州旅客鉄道、日本ハム、大東建託、アステラス製薬と続きます。一番右の列が今回です。多くは今回も下げが小さかったのですが、ゴールドクレストは-18.8%と大きく下げました。過去に強かったことが、次も強いことを約束するわけではない、という例です。

会社 業種 予想利回り(%) 2022年春(%) 2024年8月(%) 2025年4月(%) 2026年3月(%) TOPIXとの差(平均・ポイント) 今回(%)
NTT(9432) 情報・通信業 3.37 +3.2 -8.0 -6.7 +2.4 +14.9 -5.8
九州旅客鉄道(9142) 陸運業 3.36 -1.4 -3.1 -5.5 -6.6 +13.0 +7.4
日本ハム(2282) 食料品 3.15 -8.4 -0.2 -3.6 -6.1 +12.6 -4.3
大東建託(1878) 不動産業 5.07 -11.0 +1.2 -7.4 -4.1 +11.9 +4.6
ゴールドクレスト(8871) 不動産業 6.74 -4.5 -6.9 -7.7 -2.4 +11.8 -18.8
アステラス製薬(4503) 医薬品 3.24 -2.4 +2.0 -13.0 -9.2 +11.6 +10.2
ゼンリン(9474) 情報・通信業 5.12 -11.2 -8.9 +0.6 -5.2 +11.0 -8.8
ショーボンドホールディングス(1414) 建設業 3.72 -2.7 -11.2 -5.7 -6.5 +10.7 +2.4
TOKAIホールディングス(3167) 卸売業 3.05 -6.6 -8.9 -6.6 -5.5 +10.3 -6.5
ソフトバンク(9434) 情報・通信業 3.74 -10.7 -10.5 -8.5 +1.2 +10.1 -1.8

TOPIXは2022年春-16.2%・2024年8月-24.2%・2025年4月-17.0%・2026年3月-11.4%・今回-10.7%。株価は配当を含まない。

NTT(9432)

過去4回の急落でTOPIXより平均14.9pt強く、戻りは平均7日

NTTの株価と急落時の値動き

NTTです。予想利回りは3.37%、時価総額は14兆円を超えます。急落のたびにTOPIXより下げが小さく、戻りも早いのが特徴で、2022年春と2026年3月は1営業日、2024年8月でも17営業日で高値の日の株価に戻りました。ただ、左の株価を見ると、2023年以降はTOPIXの上昇に大きく遅れています。今回は-5.8%。11月4日の第2四半期決算は営業利益が前年同期比-12.2%で、進捗率も前年を下回りました。下げにくさと株価の伸びは別の話だということが、この会社の5年によく表れています。

大東建託(1878)

予想利回り5.07%。今回+4.6%、10/30に上方修正

大東建託の株価と急落時の値動き

大東建託です。予想利回りは5.07%と、一覧Bの中で高い方です。ベータは0.24。過去の急落では、2024年8月に+1.2%、2026年3月は-4.1%と下げが小さく、戻りも2営業日と3営業日でした。2022年春だけは-11%で、戻るのに118営業日かかっています。今回は+4.6%。10月30日の第2四半期決算は営業利益が前年同期比+14.3%で、通期の予想を売上から配当まですべて上方修正しました。下げにくさと決算の両方がそろった会社です。

一覧C:急落から早く戻った10社

急落から早く戻った10社

3つ目の物差しは戻りの速さです。急落の安値の日から、高値の日の株価に戻るまでの営業日数を4回分平均しました。TOPIXは2022年が282日、2024年が236日かかっていますが、この10社は4回とも36営業日以内、2か月足らずで戻っています。トップのヤマタネは平均6日ですが、11月6日に通期予想を下方修正したので注意が必要です。NTT、セルシス、東邦ホールディングス、ベースと続きます。下の3社、メガチップス、トレイダーズホールディングス、第四北越フィナンシャルグループは、下げは大きいけれど早く戻るタイプで、今回は17から29%下げています。

会社 業種 予想利回り(%) 2022年春(営業日) 2024年8月(営業日) 2025年4月(営業日) 2026年3月(営業日) 平均(営業日) 今回(%)
ヤマタネ(9305) 卸売業 4.28 5 11 3 4 6 -2.2
NTT(9432) 情報・通信業 3.37 1 17 9 1 7 -5.8
セルシス(3663) 情報・通信業 3.12 18 8 4 4 8 -8.9
東邦ホールディングス(8129) 卸売業 4.67 22 7 3 4 9 +4.8
ベース(4481) 情報・通信業 6.23 2 7 16 11 9 -5.2
フルキャストホールディングス(4848) サービス業 3.53 2 20 15 9 12 +1.5
NSD(9759) 情報・通信業 3.34 14 10 9 19 13 +1.2
メガチップス(6875) 電気機器 3.75 8 8 22 20 14 -29.4
トレイダーズホールディングス(8704) 証券、商品先物取引業 3.88 2 5 22 29 14 -16.7
第四北越フィナンシャルグループ(7327) 銀行業 3.74 7 6 23 36 18 -22.9

東邦ホールディングス(8129)

医薬品卸。β0.27・予想利回り4.67%、戻りは平均9日

東邦ホールディングスの株価と急落時の値動き

東邦ホールディングスです。医薬品の卸で、予想利回りは4.67%、ベータは0.27。2024年8月は-15.3%と下げましたが、7営業日で戻りました。2025年4月と2026年3月は3日と4日です。今回は+4.8%でした。一方で、直近の第1四半期決算は営業利益が前年同期比-35.8%と大きく減っています。次の決算は11月11日の予定で、進捗が取り戻せているかが確認のポイントです。株価の下げにくさと業績は分けて見る必要があります。

3つの物差しがそろった34社

3つの物差しがそろった会社

ここまでの3つの物差し、ベータ、過去の下げ方、戻りの速さが、そろって上位3割に入った会社を調べると、420社中34社でした。過去4回のTOPIXとの差が大きい順に12社を並べています。NTT、小野薬品工業、九州旅客鉄道、日本ハム、大東建託、ゴールドクレスト、ショーボンドホールディングス、ソフトバンクなど、通信、医薬品、陸運、不動産と業種はばらけました。この12社で予想利回りが5%を超えるのは大東建託とゴールドクレストです。34社の一覧は下の表のとおりです。

会社 業種 予想利回り(%) β 過去4回のTOPIXとの差(平均・ポイント) 戻るまで(平均・営業日) 今回の騰落率(%)
NTT(9432) 情報・通信業 3.37 0.36 +14.9 7 -5.8
小野薬品工業(4528) 医薬品 3.40 0.39 +13.4 67 +3.5
九州旅客鉄道(9142) 陸運業 3.36 0.14 +13.0 64 +7.4
日本ハム(2282) 食料品 3.15 0.19 +12.6 66 -4.3
大東建託(1878) 不動産業 5.07 0.24 +11.9 36 +4.6
ゴールドクレスト(8871) 不動産業 6.74 0.36 +11.8 29 -18.8
ショーボンドホールディングス(1414) 建設業 3.72 0.40 +10.7 74 +2.4
ソフトバンク(9434) 情報・通信業 3.74 0.32 +10.1 69 -1.8
日本瓦斯(8174) 小売業 4.46 0.27 +9.7 78 -12.2
丸井グループ(8252) 小売業 4.78 0.21 +9.6 68 +1.6
武田薬品工業(4502) 医薬品 3.11 0.35 +9.6 31 +14.7
イズミ(8273) 小売業 3.20 0.18 +9.4 65 -0.6
東邦ホールディングス(8129) 卸売業 4.67 0.27 +9.1 9 +4.8
アイチ コーポレーション(6345) 機械 5.25 0.45 +8.5 43 -14.4
ヤマタネ(9305) 卸売業 4.28 0.43 +8.5 6 -2.2
NSD(9759) 情報・通信業 3.34 0.30 +8.3 13 +1.2
極洋(1301) 水産・農林業 3.65 0.48 +8.1 72 -2.9
ハードオフコーポレーション(2674) 小売業 3.85 0.42 +6.4 74 -6.1
東洋製罐グループホールディングス(5901) 金属製品 4.30 0.46 +6.4 37 -2.9
東亜道路工業(1882) 建設業 5.96 0.48 +6.3 71 -2.3
山善(8051) 卸売業 3.23 0.44 +6.1 68 -13.8
フルキャストホールディングス(4848) サービス業 3.53 0.46 +6.1 12 +1.5
ユー・エス・エス(4732) サービス業 3.09 0.29 +6.1 22 +1.1
バイタルケーエスケー・ホールディングス(3151) 卸売業 4.67 0.38 +6.1 60 -2.6
イエローハット(9882) 卸売業 4.00 0.21 +5.7 83 +4.5
ZOZO(3092) 小売業 3.52 0.29 +5.6 70 +2.5
エスコン(8892) 不動産業 5.00 0.41 +5.2 76 +0.9
サカイ引越センター(9039) 陸運業 3.94 0.35 +4.9 36 +0.2
サーラコーポレーション(2734) 小売業 3.01 0.54 +4.9 38 -3.0
第一興商(7458) 卸売業 3.95 0.21 +4.8 42 -1.7
セブン銀行(8410) 銀行業 3.25 0.41 +4.6 67 -0.7
アイル(3854) 情報・通信業 3.11 0.49 +4.5 48 +9.9
フージャースホールディングス(3284) 不動産業 6.19 0.46 +4.4 80 +0.6
パーソルホールディングス(2181) サービス業 4.56 0.42 +3.7 46 +2.5

β・過去4回のTOPIXとの差・戻るまでの日数が、それぞれ420社の上位3割に入った会社。TOPIXとの差が大きい順。

急落の安値で買っていたら

急落の安値の日に買った場合のその後の騰落率

では、急落の安値の日に高配当株を買っていたら、どうなったでしょうか。配当込みで、その後1年の騰落率の中央値です。2026年3月はまだ半年分です。高配当株全体では、2022年が+16.8%、2024年が+36.3%、2025年が+47.8%で、1年後に+だった会社は8割から9割超でした。ここで注目したいのは、ベータの小さい3分の1は+9から27%と、上がり方も小さいことです。反対に、ベータの大きい3分の1は、2025年に+77%とTOPIXを上回りました。下げにくい株は、戻る局面では出遅れやすいということです。

局面 期間 高配当株(中央値・%) プラスの会社の割合(%) うちβ小さい3分の1(%) うちβ大きい3分の1(%) TOPIX(%) 高値の日に買っていた場合(%)
2022年春(安値2022-03-08) 3か月後 +7.0 81 +4.1 +11.9 +11.8 -7.7
2022年春(安値2022-03-08) 半年後 +10.3 79 +6.1 +14.4 +13.4 -5.9
2022年春(安値2022-03-08) 1年後 +16.8 83 +8.7 +23.2 +14.5 -1.2
2024年8月(安値2024-08-05) 3か月後 +17.3 96 +10.4 +21.9 +23.7 -5.5
2024年8月(安値2024-08-05) 半年後 +20.0 92 +13.7 +24.4 +23.4 -3.8
2024年8月(安値2024-08-05) 1年後 +36.3 96 +26.7 +45.6 +39.9 +9.0
2025年4月(安値2025-04-07) 3か月後 +19.9 97 +12.9 +28.3 +22.0 +2.1
2025年4月(安値2025-04-07) 半年後 +34.1 99 +19.0 +48.0 +42.7 +13.8
2025年4月(安値2025-04-07) 1年後 +47.8 97 +25.8 +77.3 +66.9 +24.9
2026年3月(安値2026-03-23) 3か月後 +0.0 50 -2.4 +10.9 +14.7 -8.8
2026年3月(安値2026-03-23) 半年後 +7.8 73 +3.2 +18.3 +19.4 -2.0

配当込みの騰落率(米国ヤフー・ファイナンスの配当調整後終値)。対象は今回の857社で、今も上場していて今の時点で高配当・減配なしの会社だけなので、過去の成績はよく見えやすい。

下げにくい株と、下げで買い増す株

  • 低β:今回の中央値-3.1%。持ち続けやすいが、戻りは小さい
  • 高β:今回の中央値-13.5%。安値で買えば1年後の伸びは大きい
  • 高値で買っていても、2024年・2025年は1年後にプラス
  • 過去の傾向で、次の下げ方は約束されない

ここまでをまとめると、下げにくい株と、下げたところで買い増す株は、役割が違うことが分かります。ベータの小さい株は、今回も-3.1%で済み、持ち続けやすい一方で、戻る局面の伸びは小さめです。ベータの大きい株は今回-13.5%と大きく下げましたが、過去の急落では安値から1年で大きく伸びました。ちなみに、急落の直前の高値の日に買っていた場合でも、高配当株の中央値は2024年と2025年の局面では1年後に+でした。ただし、どれも過去の傾向で、次の下げ方を約束するものではありません。

一覧D:今回下げたが決算が良い10社

今回下げたが決算が良い10社

4つ目の物差しは、今回下げたけれど直近の決算が良い会社です。条件は、今回TOPIXより5ポイント以上大きく下げたこと、10月15日以降に決算か上方修正を出していて、営業利益が前年同期比+10%以上、進捗率が前年の同じ時期以上、下方修正をしていないことです。決算の直後に大きく下げた会社や、その会社だけの材料で急落した日がある会社は外しました。15社が当てはまり、下げが大きい順の10社がこちらです。電気機器、卸売、化学が多く、今回の下げは20から34%です。2社を詳しく見ます。

会社 業種 予想利回り(%) 今回の騰落率(%) β 直近の決算 発表日 営業利益の前年同期比(%) 進捗率(%)
ダイハツインフィニアース(6023) 輸送用機器 3.75 -34.1 1.65 第2四半期 10/28 +65.9 39(前年32)
サンワテクノス(8137) 卸売業 4.05 -28.2 1.00 第2四半期 10/30 +120.0 41(前年37)
IDEC(6652) 電気機器 4.35 -27.5 0.94 第2四半期 11/06 +140.0 69(前年44)
山洋電気(6516) 電気機器 4.76 -27.5 1.13 第2四半期 10/29 +84.7 44(前年42)
バルカー(7995) 化学 3.67 -26.8 1.10 第2四半期 11/04 +89.1 49(前年44)
ダイトロン(7609) 卸売業 3.94 -26.4 1.19 第3四半期 11/04 +52.7 82(前年71)
トーカロ(3433) 金属製品 4.27 -26.2 1.19 第2四半期 11/05 +25.9 47(前年46)
正興電機製作所(6653) 電気機器 3.70 -24.0 1.29 第3四半期 10/30 +24.9 72(前年68)
日本ゼオン(4205) 化学 4.08 -21.8 0.78 第2四半期 10/29 +64.9 72(前年48)
因幡電機産業(9934) 卸売業 3.34 -20.5 0.75 第2四半期 10/30 +42.6 54(前年48)

進捗率は通期の営業利益予想に対する割合(株探の決算ページ)。条件を満たしたのは15社で、今回の下げが大きい順の10社。

IDEC(6652)

今回-27.5%、第2四半期の営業利益+140%・進捗69%(前年44%)

IDECの株価と急落時の値動き

IDECです。制御機器の会社で、予想利回りは4.35%。今回は-27.5%と大きく下げました。ベータは0.94と、TOPIXとほぼ同じ動きをする会社です。11月6日に出た第2四半期決算は、営業利益が前年同期比+140%、通期予想に対する進捗率は69%で、前年の同じ時期の44%を大きく上回っています。10月2日には通期予想を上方修正していました。過去の急落では2024年8月に250営業日以内に戻れなかったこともあり、戻りが早い会社ではありません。

サンワテクノス(8137)

今回-28.2%、第2四半期の営業利益+120%と上方修正

サンワテクノスの株価と急落時の値動き

サンワテクノスです。電機・機械部品の商社で、予想利回りは4.05%、ベータは1.0。今回は-28.2%でした。10月30日の第2四半期決算は営業利益が前年同期比+120%、進捗率は41%で前年の37%を上回り、同じ日に通期予想と配当予想を上方修正しています。過去の急落では2022年春に-20.8%、2024年8月に-25.5%と、TOPIXと同じかそれ以上に下げるタイプです。業績は良くても値動きは大きい、という前提で見る会社です。

一覧E:下げで利回りが上がった10社

下げで利回りが上がった10社

最後は、今回の下げで予想利回りがどれだけ上がったかです。配当の予想は変わらず株価だけ下がったので、利回りが上がっています。決算や修正の直後に大きく下げた会社、下方修正をした会社、その会社だけの材料で急落した日がある会社は外しました。トップのトレックス・セミコンダクターは2.76%から4.29%へ、1.53ポイント上がりました。大真空、コーセル、山洋電気と、電気機器が多く並びます。表の「決算の条件」が○の会社は、一覧Dと同じ決算の条件を満たした会社です。利回りが上がった理由が株価の下げなので、配当を続けられる業績かを必ず確かめてください。

会社 業種 予想利回り(%) 高値の日の利回り(%) 上がり幅(ポイント) 今回の騰落率(%) 決算の条件
トレックス・セミコンダクター(6616) 電気機器 4.29 2.76 +1.53 -35.7 ○
大真空(6962) 電気機器 4.62 3.13 +1.49 -32.3 ―
コーセル(6905) 電気機器 5.27 3.93 +1.34 -25.4 ―
山洋電気(6516) 電気機器 4.76 3.45 +1.31 -27.5 ○
ダイハツインフィニアース(6023) 輸送用機器 3.75 2.47 +1.28 -34.1 ○
ワイエイシイホールディングス(6298) 機械 4.75 3.51 +1.24 -26.2 ―
IDEC(6652) 電気機器 4.35 3.15 +1.20 -27.5 ○
スミダコーポレーション(6817) 電気機器 5.28 4.09 +1.19 -22.5 ―
テクノ菱和(1965) 建設業 3.66 2.51 +1.15 -31.3 ○
サンワテクノス(8137) 卸売業 4.05 2.91 +1.14 -28.2 ○

注意点

  • 今の上場会社だけ(途中で上場廃止の会社は入らない)
  • 利回りは会社予想。決算で配当予想が変わることがある
  • βや過去の下げ方は、次の下げ方を約束しない
  • 低βの会社は会社だけの材料で下げることがある
  • 売買を勧めるものではない

注意点です。この分析は、今も上場していて、今の時点で利回りが高く減配していない会社だけを見ているので、過去の成績はよく見えやすくなります。利回りは会社予想で、これから出る決算で配当予想が変わることもあります。ベータや過去の下げ方は、次の下げ方を約束するものではありません。ベータが小さい会社でも、決算や不祥事など、その会社だけの材料で大きく下げることはあります。今回の一覧は、どの会社を調べるかの入り口として使ってください。売買を勧めるものではありません。

まとめ

  • 今回:日経-18.7%・TOPIX-10.7%、高配当株は-5.7%
  • βが小さい業種:小売・食料品・陸運・医薬品。大きい:銀行・電気機器
  • 過去4回の急落:安値で買えば1年後は4回ともプラス
  • 低βは下げにくいが戻りも小さい。高βは下げも戻りも大きい
  • 今回下げて決算が良い会社は、電気機器・卸売・化学に多い

まとめです。今回の1か月は、日経平均が-18.7%、TOPIXが-10.7%でしたが、高配当株857社の中央値は-5.7%でした。ベータが小さいのは小売、食料品、陸運、医薬品で、今回もほとんど下げていません。過去4回の急落では、安値で買えば1年後はいずれも+でしたが、下げにくい株は戻りも小さく、下げの大きい株ほど戻りも大きいという傾向でした。下げにくい株で守りを固めるか、下げて決算の良い株を拾うか。目的に合わせて物差しを使い分けてみてください。

権利落ちのあとの株価の動きは高配当株の権利落ち後の株価で検証しています。

本記事は株探・IR BANK・米国ヤフー・ファイナンスの公開データをもとに、記事内に書いた条件で機械的に計算した結果をまとめたものです。特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、将来の株価や配当を保証するものでもありません。数値は2026年11月6日終値時点(決算は11月7日取得)で、その後の発表は反映されていません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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