【高配当株|1Q決算シーズンに増配・増収】1414 ショーボンドホールディングス|減収でも14期連続増益 増配の原資は配当性向60%

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2026年7月から8月に増配または上方修正を発表した高配当株146社を17項目で採点したシリーズの、個別銘柄編7社目です。今回は総合7位だった1414 ショーボンドホールディングスを、決算短信と適時開示の数字で掘り下げます。

結論

  • 8月10日に出たのは期末配当を25円00銭から25円25銭へ、25銭引き上げる増配でした。株式分割前に換算すると1円の増額です。2026年8月31日終値1,276.5円に対する今期の予想利回りは3.64%です。
  • この会社は16期連続で増配しており、配当を増やすこと自体は毎年の恒例行事です。むしろ注目すべきは「期末にどれだけ上積みするか」が33円から1円へ急減したことでした。
  • 2026年6月期は売上高89,204百万円で1.7%の減収。それでも営業利益20,831百万円(+0.2%)、純利益15,439百万円(+2.5%)で、決算短信は「14期連続で増益」と書いています。
  • ただし増益の中身は本業の外側にあります。営業利益の増加はわずか36百万円。経常利益が345百万円増えたのはタイとアメリカの持分法適用会社の改善が主因で、純利益の増加には投資有価証券売却益1,138百万円が効いています。
  • 増配の原資は、事業の伸びではなく方針の変更です。2025年8月に還元方針を配当性向60%+自己株式取得50億円=総還元性向90%に引き上げました。配当性向は2025年6月期から3期続けて60.1%に張りついています。
  • もうひとつの原資が自己株買いによる株数の減少です。2026年6月期の純利益の伸びは+2.5%ですが、1株利益は+4.2%。差の1.7ポイントは株数が1.6%減ったぶんです。
  • 気になるのは受注残高が81,698百万円から72,498百万円へ11.3%減ったことです。翌期以降に持ち越せる仕事の量が1年で1割減りました。
  • 財務は極めて強く、自己資本比率82.3%、実質無借金、ROE14.6%。採点で落としたのは配当性向(60.1%は高め)と株価(5年でほぼ横ばい)、それにフリーキャッシュフローがマイナスの年が4回あったことによる減点2点でした。

前の6社との違い

増配の原資は、回ごとにこれだけ違う
増配の原資は、回ごとにこれだけ違う

このシリーズで先に取り上げた6社と並べると、同じ「増配」でも原資がまったく違うことが分かります。

銘柄 増配の原資 来期以降も残るか
6200 インソース 上場10周年の記念配当 5.5円 残らない(一時的)
4746 東計電算 保有株の売却益 43億円(特別利益) 売却を続けなければ残らない
3771 システムリサーチ 配当方針の変更(累進配当の導入) 方針が続くかぎり残る
1381 アクシーズ 鶏肉相場の上昇と飼料コストの下落 相場が反転すれば残らない
3964 オークネット M&A投資枠70億円の振り替え 原資が尽きれば残らない
7931 未来工業 業績予想の再開でDOEから配当性向50%へ 利益が減れば配当も減る
1414 ショーボンドHD 配当性向を60%へ引き上げ+自己株買い 方針が続けば残る。ただし利益次第

6社めまでは「利益が増えたから配当を増やした」か「一時的な原資があった」のどちらかだった。7社めのショーボンドHDは、利益がほぼ横ばいのまま配る比率を上げ、株数を減らすことで1株あたりを増やしている。配当の増やし方としてはいちばん機械的で、いちばん先が読みやすい

どんな会社か

橋梁・トンネル・鉄道・港湾・上下水道など社会インフラの補修・補強工事と、その材料の製造・販売を手がける会社です。自社を「造らない建設会社」と呼び、新しく造るのではなく、すでにある社会インフラを直して長く使えるようにすることを本業にしています。本社は東京都中央区日本橋箱崎町、東証プライムに上場、決算期は6月末。2026年6月期は2025年7月〜2026年6月です。従業員は連結1,051人(2025年6月末)、資本金50億円。

社名の由来がこの会社の性格をよく表しています。

できごと
1959年 土木建築用接着剤「ショーボンド」を開発。これが社名の由来
1964年 新潟地震で落橋した昭和大橋の復旧工事で床版ひび割れの樹脂注入を担当し、土木工事としての構造物補修の地位を固める
1975年 商号を「ショーボンド建設株式会社」に変更
1987年 東京証券取引所第二部に上場
1989年 東京証券取引所第一部銘柄に指定
1995年 兵庫県南部地震の災害復旧に全社を挙げて対応。構造物補修の重要性が社会的に強く認知される
2008年 株式移転により持株会社ショーボンドホールディングスを設立
2016年 ショーボンド化学とショーボンドカップリングを合併しショーボンドマテリアルに
2019年 三井物産と合弁でSHO-BOND&MITインフラメンテナンスを設立
2022年 東証の市場再編に伴いプライム市場へ移行

1959年に開発した土木建築用接着剤「ショーボンド」がそのまま社名になりました。1964年の新潟地震で落橋した昭和大橋の復旧工事で床版のひび割れに樹脂を注入した実績が、構造物補修という仕事を土木工事として定着させたと会社は説明しています。1995年の兵庫県南部地震の復旧にも全社で対応しました。災害と老朽化が仕事を生む事業です。

株価は2026年8月31日終値で1,276.5円、今期予想EPS 77.36円なのでPERは16.5倍、BPS 533.19円に対してPBRは2.39倍です。時価総額は発行済株式数ベースで約2,820億円、自己株式8.4%を除くと約2,560億円になります。

2026年1月1日付で1株→4株の分割。分割前の株価は約5,100円だった。配当の金額は分割前と後が混ざるので、本記事では断りのない限り分割後(現在の株数)に換算して並べている

業績はどう伸びてきたか

利益は過去最高 ただし売上は30年前の水準に届かない
利益は過去最高 ただし売上は30年前の水準に届かない

売上高は2008年6月期の414億円から2026年6月期の892億円へ、18年で2.2倍になりました。営業利益は29.2億円から208億円へ7.1倍、営業利益率は7.0%から23.4%まで上がっています。建設業でこの利益率は異例の高さです。

ただし長い目で見ると、この会社の売上には越えられていない山があります。売上高の過去最高は1997年6月期の1,103億円で、いまの892億円はその81%にとどまる。公共事業の縮小で2004年6月期の353億円まで落ち込み、そこから約2.5倍に戻したが、30年前の水準は超えていない。一方で営業利益・経常利益・純利益・1株利益は2026年6月期がいずれも過去最高。

つまりこの会社は、売上の規模ではなく利益率を上げることで稼ぐ形に変わったということです。営業利益率は2008年6月期の7.0%から23.4%へ3倍以上になりました。売上が30年前に届かなくても利益が過去最高になるのは、そのためです。

本題:増配の正体は「配る比率」と「株数」

配当性向は26%から60%へ 増配の半分は「配る比率」を上げた結果
配当性向は26%から60%へ 増配の半分は「配る比率」を上げた結果

ここが今回いちばん重要なところです。

この会社は16期連続で増配しています。2010年6月期の5円(分割後換算)から2027年6月期予想の46.50円まで、一度も減らしていません。ではその増配は何で作られてきたのか。配当性向の推移を並べると、答えがはっきり出ます。

配当性向は2010年6月期の26.6%から、2020年6月期の47.5%、2021年6月期の50.1%を経て、2025年6月期以降は60.1%まで上がっています。つまり利益が増えたぶんだけ配当を増やしてきたのではなく、利益のうち配る割合そのものを2倍以上に引き上げてきたのです。

いちばん大きな転機は2025年8月12日でした。会社は「中期経営計画2027」の株主還元方針を変更し、2025年6月期〜2027年6月期の3カ年について各年度の総還元性向を90%とし、株主還元を配当性向60%・自己株式取得50億円(3年累計150億円)とすると決めました。

配当性向60%は目安ではなく、ほぼそのとおりの数字が出ている。2025年6月期60.1%、2026年6月期60.1%、2027年6月期予想も60.1%。つまり配当は1株利益にほぼ完全に連動する形になった

実際、2026年6月期の年間配当45.75円はEPS 76.08円のちょうど60.1%、2027年6月期予想の46.50円もEPS 77.36円の60.1%です。配当はもう1株利益の関数になっています

毎年の「期末に上積み」は33円から1円になった

毎年の「期末に上積み」は33円から1円へ サプライズは消えた
毎年の「期末に上積み」は33円から1円へ サプライズは消えた

この会社にはもうひとつ、長く続いてきた癖があります。期初に控えめな配当予想を置いて、期末に上積みするというやり方です。

決算期 期初の年間配当予想 年間配当の実績 上積み
2021年6月期 86円 106円 +19円
2022年6月期 108円 118円 +10円
2023年6月期 120円 127円 +7円
2024年6月期 128円 139円 +11円
2025年6月期 142円 176円 +33円
2026年6月期 182円 183円 +1円

金額は株式分割前のもの。IR BANKの配当履歴より。

2021年6月期は19円、2024年6月期は11円、そして2025年6月期は33円も上積みされました。だから8月の「増配のお知らせ」は、この会社にとっては毎年の恒例行事に近いものでした。

ところが2026年6月期の上積みは1円だけです。今回の適時開示に書かれているとおり、期末配当は「1株当たり25円00銭を予定しておりましたが、株主還元方針を踏まえ、前回発表予想から25銭増配(株式分割前換算で1円増配)」となりました。

理由ははっきりしています。還元方針が計算式に変わったからです。2025年6月期の上積み33円は、2025年8月12日の方針変更をその期の期末配当にさかのぼって適用したもので、配当性向が予想の48.8%から実績60.1%へ跳ね上がった結果でした。方針が固まった今は、期初の予想の時点ですでに配当性向60%を出しています。期末に上積みする余地がなくなったわけです。

言い換えると、これから先この会社の配当が増えるかどうかは、1株利益が増えるかどうかだけで決まります

1株利益の伸びの4割は、株数の減少が作っている

1株利益の伸びの4割は、利益ではなく株数の減少が作っている
1株利益の伸びの4割は、利益ではなく株数の減少が作っている

では、その1株利益は何で伸びているのか。ここで自己株買いが効いてきます。

2026年6月期の純利益は15,061百万円から15,439百万円へ+2.5%。ところが1株利益は73.01円から76.08円へ+4.2%伸びています。差の1.7ポイントはどこから来たのか。

答えは株数です。2026年6月期は3,741,300株を4,999百万円で買い付けた。その結果、期中平均株式数は206,291,918株から202,948,778株へ1.6%減った。純利益の伸びは2.5%なのに1株利益の伸びが4.2%になっているのは、この株数の減少がおよそ1.7ポイントぶんを上乗せしているから

2027年6月期の会社予想はもっと極端です。純利益の伸びは+0.4%しかありませんが、1株利益は76.08円から77.36円へ+1.7%伸びのうち4分の3以上を株数の減少が供給する計算になります。

そして会社は8月10日、決算と同時に新たな自己株式取得も決議しています。上限4,400,000株(発行済株式(自己株式を除く)の2.2%)、上限50億円、期間は2026年8月12日〜2027年6月30日。目的は「投資機会や手元資金、株価水準等を総合的に勘案した機動的な自己株式取得による株主還元の強化および資本効率の向上を図るため」と書かれています。

2026年6月30日時点で発行済株式218,980,720株のうち18,448,080株(8.4%)が自己株式です。この比率は前期の6.7%から上がっています。

稼いだ154億円のうち142億円を返している

稼いだ154億円のうち142億円を配当と自己株買いで返している
稼いだ154億円のうち142億円を配当と自己株買いで返している

配当と自己株買いを合わせると、株主還元の全体像が見えます。

2026年6月期の親会社株主に帰属する当期純利益は15,439百万円。これに対して当期に係る配当金の総額は9,226百万円(配当性向60.1%)、自己株式の取得が5,000百万円。合わせて総還元性向は92.1%になります。会社が掲げる90%という目標をきちんと達成しています。

キャッシュフロー計算書のほうで見ると、財務活動によるキャッシュ・フローは14,874百万円のマイナス。内訳は配当金の支払額9,845百万円と自己株式の取得5,000百万円が中心です。

これだけ出しても現金及び現金同等物は32,523百万円から37,247百万円へ増えています。営業キャッシュ・フローが19,330百万円あるためです。返しながら手元も厚くなるという、かなり恵まれた状態にあります。

減収と、受注残高の1割減

受注残高は1年で11.3%減 翌期に持ち越せる仕事は細っている
受注残高は1年で11.3%減 翌期に持ち越せる仕事は細っている

ここからは気になる側の話です。

2026年6月期は減収でした。売上高は90,712百万円から89,204百万円へ1.7%減。受注高も82,182百万円から80,004百万円へ2.7%減っています。

会社の説明では、受注高の減少は「高速道路会社の発注量が低迷するなか、国発注の工事獲得に注力したことで国からの受注は増加したが、地方自治体や高速道路会社の受注が前年を下回った」ため。売上高の減少は「耐震補強用材料及びカップリング材の販売増により工事材料売上は増加した一方で、国及び高速道路会社の工事売上が低調」だったため。

そして受注残高です。受注残高は72,498百万円と前期末から9,200百万円(11.3%)減った。受注高が売上高を下回ったためで、翌期以降に持ち越せる仕事の量は減っている。売上高の約8割にあたる仕事を常に抱えている会社なので、この1割減がそのまま来期の売上減になるとは限りませんが、会社予想が売上+0.9%・営業利益+0.8%とほぼ横ばいにとどまっているのは、この受注環境と無縁ではないはずです。

顧客の内訳を見ると、この会社の売上がどこから来ているかがよく分かります。

顧客 2025年6月期 2026年6月期 前期比
東日本高速道路 20,599百万円 19,887百万円 -3.5%
西日本高速道路 12,408百万円 10,016百万円 -19.3%
国土交通省 9,791百万円 8,920百万円 -8.9%

決算短信に名前が載る顧客は3者だけで、いずれも高速道路会社か国。この3者で売上の4割強を占める。2026年6月期はこの3者向けがそろって減っており、受注高・売上高の減少はここが効いている。3者の合計は42,798百万円から38,823百万円へ減り、売上に占める比率も47.2%から43.5%へ下がりました。

一方で、会社は市場そのものについては前向きに書いています。2023年の国土強靭化基本法改正で、予算措置を伴う「実施中期計画」の策定が義務化された。2025年6月6日に閣議決定された「第1次国土強靭化実施中期計画」では、2026年度からの5年間でおおむね20兆円強程度の事業規模が想定されている。国内インフラメンテナンス市場の受注環境は、中長期的には引き続き堅調な状況が継続すると想定している(会社の説明)。

ただしただし2026年6月期の実績は、高速道路会社の発注量が低迷して受注高2.7%減・受注残高11.3%減。追い風の話と足元の数字は方向が逆になっているという点は押さえておきたいところです。国が5年で20兆円を使う計画と、この会社が実際に受注できる量は別の話です。

四半期で見ると、最終盤で息切れしている

通期の横ばい着地は、3四半期めの貯金を4四半期めに吐き出した形
通期の横ばい着地は、3四半期めの貯金を4四半期めに吐き出した形

通期の数字だけを見ると「ほぼ横ばいで着地」ですが、四半期に割ると中身は平坦ではありません。

四半期でならすと、2026年1-3月の営業利益6,504百万円(営業利益率27.2%)が突出して大きい。一方で最終四半期の2026年4-6月は4,240百万円で、前年同期の4,501百万円を5.8%下回った。通期がほぼ横ばいで着地したのは、3四半期めの貯金を4四半期めに吐き出した形。

2026年1-3月の営業利益率27.2%は8四半期のなかで突出しています。逆に2026年4-6月の18.9%は最低です。期の後半に向けて勢いが落ちた状態で今期に入っているということになります。

増益の中身は、本業の外側にある

「14期連続で増益」という決算短信の記載は事実です。ただし当期の増益がどこで作られたかは見ておく必要があります

営業利益の増加は36百万円(+0.2%)とほぼ横ばい。経常利益が345百万円増えたのは、タイとアメリカの持分法適用関連会社の収益が改善して持分法投資損益が69百万円の損失から167百万円の利益に転じたことが大きい。純利益が378百万円増えたのは、投資有価証券売却益を1,138百万円(前期813百万円)計上したため。つまり14期連続増益といっても、当期の増益分は本業の外側で作られている。

整理すると、こうなります。

  • 営業利益:20,794百万円 → 20,831百万円(+36百万円、+0.2%)。ほぼ横ばい。
  • 経常利益:21,139百万円 → 21,485百万円(+345百万円)。うち持分法投資損益の改善が236百万円。前期は69百万円の損失、当期は167百万円の利益でした。
  • 純利益:15,061百万円 → 15,439百万円(+378百万円)。特別利益の投資有価証券売却益が813百万円から1,138百万円へ増え、前期にあった減損損失131百万円も当期はありません。

投資有価証券の売却益は前期にも計上されているので「今期だけの特殊要因」ではありませんが、売る株が尽きれば続かない性質のものではあります。

なお、減収なのに営業利益が減らなかったこと自体はきちんとした中身があります。減収でも営業利益が減らなかったのは、売上総利益率が29.2%から29.9%へ0.7ポイント改善したため。売上高は1,507百万円減ったが、売上総利益は183百万円増えている。工事材料の販売が伸びて採算が改善した、というのが会社の説明です。

財務とキャッシュフロー

キャッシュはよく出るが、過去には4回マイナスの年がある
キャッシュはよく出るが、過去には4回マイナスの年がある

財務は文句のつけようがありません。総資産129,858百万円に対して負債は21,481百万円だけ、自己資本比率82.3%。有利子負債は株探の集計で「-」=実質無借金。決算短信の連結貸借対照表にも借入金・社債の科目はない。現金及び現金同等物は37,247百万円あり、これは自己株式を除く時価総額約2,560億円の15%近くにあたります。

ROEは14.6%。自己資本比率が80%を超えていてこのROEというのは、それだけ資産効率が高いということです。設備をほとんど必要としない事業構造が効いています。実際、2026年6月期の有形固定資産の取得は1,171百万円しかありません。

営業キャッシュ・フローは19期すべて黒字です。ただし投資CFがプラスの年が何度もあるのは、保有している有価証券の売却・償還が設備投資を上回るため。設備をあまり必要としない事業なので、本業で稼いだ現金がそのまま残りやすい。

そのうえで、フリーキャッシュフローがマイナスになった年が4回あります(2008年・2010年・2018年・2019年6月期)。直近では2019年6月期で、営業CF 45.5億円に対して投資CFが55.7億円のマイナスでした。本シリーズの採点ではここで2点引かれています。

採点で減点2がついた理由

本シリーズの採点では、加点20点・減点-2点で総合18点、146社中7位でした。判定年数は19年です。

項目 評価 根拠
①売上高 10年CAGR 5.48% / 直近4期 2.06%
②EPS 10年CAGR 10.08% / 直近4期 7.71%
③営業利益率 23.35%
④自己資本比率 82.3%
⑤営業CF 赤字0回・19期連続黒字
⑥現金等 10年で1.71倍/現金比率19.8%
⑦配当金 連続増配16期
⑧配当性向 60.1%(30〜50%が満点)
⑨株価の推移 5年+1.4% / 1年+3.4% / トレンド横ばい

営業利益率23.4%・自己資本比率82.3%・営業CF19期連続黒字・連続増配16年と、収益性と財務と配当の継続性はほぼ満点。落としたのは配当性向(60.1%は高め)と株価(5年でほぼ横ばい)、それにフリーキャッシュフローがマイナスの年が4回あったことによる減点2点。

減点-2点はフリーキャッシュフローが恒常赤字 4回(2008・2010・2018・2019年6月期)によるものです。減配・無配・タコ足配当・純損失はいずれも一度もありません。この点は上位10社のなかでもきれいなほうです。

逆に加点を伸ばせなかったのは次の2つです。

  • ⑧配当性向が△:60.1%。この採点では30〜50%を満点としています。60%は「株主に返す姿勢」としては評価できますが、利益が減ったときに配当を守る余地が小さいことの裏返しでもあります。総還元性向92.1%まで出しているので、なおさらです。
  • ⑨株価の推移が△:5年騰落率が+1.4%、直近1年が+3.4%。トレンド判定は「横ばい」でした。

株価

10年で2.2倍 ただし直近5年はほぼ横ばい(+3.3%)
10年で2.2倍 ただし直近5年はほぼ横ばい(+3.3%)

株価は10年で123.7%上がりました(571円→1,276.5円、いずれも分割調整後の月末終値)。ただし直近5年は+3.3%とほぼ横ばいで、直近1年は-0.3%です。

高値は2024年1月の1,648円で、2026年8月31日終値1,276.5円はそこから22.5%低い水準です。2025年2月には1,173円まで下げています。

ここは利回りを見るうえで大事なところです。2024年1月の高値1,647円のときの利回りは2.1%だった。いま3.64%まで上がっているのは、配当が34.75円から46.50円へ34%増えたことと、株価が22.5%下がったことの両方が効いている。利回りが上がったのは、会社が配当を増やしたからだけではありません

本シリーズのランキングを作った2026年8月21日時点の株価は1,258円、予想利回り3.7%でした。

1株利益も配当も右肩上がり ただし直近2期の伸びは1〜4%まで鈍化
1株利益も配当も右肩上がり ただし直近2期の伸びは1〜4%まで鈍化

1株利益と1株配当を並べると、長期の実績は文句なしです。2010年6月期の5.00円から2027年6月期予想の46.50円まで、17期にわたって一度も減らしていない。ただし増配のペースは一定ではなく、配当性向が26.6%→50%台→60%と段階的に上がったタイミングで配当の伸びが利益の伸びを上回っている。

2023年6月期には創立65周年の記念配当が乗っている(2023年5月10日「期末配当予想の修正(創立65周年記念配当)」)。翌2024年6月期はそれを含む水準をさらに上回った。

確認しておきたいこと

  1. 受注高が戻るか。 2026年6月期は受注高2.7%減・受注残高11.3%減でした。会社が言う「中長期的には堅調」が数字で確認できるのは受注高です。11月に出る第1四半期決算が最初の手がかりになります。
  2. 高速道路会社の発注量。 減収の直接の原因です。決算短信に名前が載る顧客3者で売上の43.5%を占めるため、ここが動くと業績も動きます。
  3. 自己株買いの進捗。 上限50億円・4,400,000株の枠が2026年8月12日〜2027年6月30日に設定されています。1株利益の伸びの大半をここが供給するので、実際にどれだけ買うかは配当に直結します。会社は毎月「自己株式の取得状況に関するお知らせ」を出しています。
  4. 配当性向60%が維持されるか。 中期経営計画2027は2025年6月期〜2027年6月期の3カ年が対象です。2027年6月期がその最終年度にあたるので、次の中期経営計画で還元方針がどうなるかは2027年8月の発表で決まります。
  5. 投資有価証券売却益。 2期続けて特別利益に計上されています。これが止まったときに「14期連続増益」が続くのかは見ておきたいところです。

まとめ

ショーボンドホールディングスは、16期連続増配・自己資本比率82.3%・実質無借金・営業利益率23.4%という、高配当株として見たときにかなり整った会社です。橋やトンネルを直すという事業も、老朽化と災害という二つの構造要因に支えられています。

そのうえで、今回の「増配」の中身は前の6社とかなり違います。事業が伸びて増配したのではなく、配当性向を60%に引き上げ、自己株買いで株数を減らすことで1株あたりを増やしているのが実態です。2026年6月期は減収で、営業利益の増加は36百万円。1株利益の伸び4.2%のうち1.7ポイントは株数の減少ぶんでした。

この仕組みは分かりやすい反面、先が読みやすすぎるという面もあります。配当性向が60%で固定されている以上、配当が増えるかどうかは1株利益が増えるかどうかだけで決まります。そして受注残高は1年で11.3%減り、今期の会社予想は売上+0.9%・純利益+0.4%とほぼ横ばいです。

期末に大きく上積みされる「うれしい増配」の時代は、方針が計算式に変わったことでいったん終わりました。これからは、稼ぐ力そのものが伸びるかどうかを見ることになります。予想利回り3.64%という数字が、増配と株価下落のどちらでできているのかも合わせて確認しておきたいところです。

動画版

この記事の内容を、グラフを見ながら約20分で解説した動画版です。増配の正体が「配る比率」だったという本題は4分16秒から、毎年の期末の上積みが33円から1円へ減った話は5分52秒から、1株利益の伸びの4割を自己株買いが作っているという分解は7分27秒からです。受注残高が1年で11.3%減った件は10分43秒から扱っています。

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データ出所

  • 2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026-08-10/TDnet)
  • 剰余金の配当(増配)に関するお知らせ(2026-08-10/TDnet)
  • 自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(2026-08-10/TDnet)
  • 業績・配当・財務・キャッシュフローの長期推移(2008〜2026年6月期/IR BANK)
  • 株価・PER・PBR・時価総額・四半期業績・過去最高(2026-08-31終値/株探)
  • 会社概要・沿革・事業案内(2026-09-01閲覧/会社IRサイト)
  • 月末終値の長期系列(分割調整後)(2005年1月〜2026年8月/Yahoo Finance)

本記事は公開情報を集計・整理したものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。ショーボンドホールディングスの決算期は6月末で、2026年6月期は2025年7月1日から2026年6月30日までにあたります。2026年1月1日付で普通株式1株につき4株の株式分割が行われているため、1株あたりの数値は断りのある箇所を除き分割後(現在の株数)に換算して並べています。数値は各出所の公表時点のもので、その後の開示により変わることがあります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

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