【高配当株|1Q決算シーズンに増配・増収】3771 システムリサーチ|1Qは減益なのに増配、理由は業績ではなく配当方針の変更だった

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2026年7月から8月に増配または上方修正を発表した高配当株146社を17項目で採点したシリーズの、個別銘柄編3社目です。今回は総合3位だった3771 システムリサーチを、決算短信と適時開示の数字で掘り下げます。

結論

  • 今期1Qは増収減益でした。売上+7.0%に対し、営業利益は-10.1%。前年同期は営業+26.8%だったので、大きく落ちています。
  • それでも同じ日に増配を発表しました。理由は業績ではなく配当方針そのものの変更です。目標配当性向を40%から50%へ引き上げ、あわせて累進配当を導入しました。
  • 期末配当は70円から80円へ。予想配当利回りは3.57%から4.08%になりました。
  • 通期予想は据え置き(売上+10.9%・営業利益+10.9%)。会社は1Qの減益を一時的なものと見ています。
  • 四半期で並べ直すと、1Qは毎年いちばん小さい四半期で、前年の1Qが例年より跳ねていました。今期の1Qは2年前と比べると+13.9%で、水準は切り下がっていません。

前の2社との違い

このシリーズで先に取り上げた2社と並べると、同じ「増配」でも中身がまったく違うことが分かります。

銘柄 増配の原資 来期に残るか
6200 インソース 上場10周年の記念配当 5.5円 残らない(一時的)
4746 東計電算 保有株の売却益 43億円(特別利益) 売却を続けなければ残らない
3771 システムリサーチ 配当方針の変更(目標配当性向40%→50%+累進配当) 方針が続くかぎり残る

今回が3社の中でいちばん「構造的な」増配です。ただし後述するとおり、方針には期限と但し書きが付いています。

どんな会社か

独立系の情報システム開発(産業・流通・公共向けのシステム構築と運用)を手がける会社です。本社は名古屋市、東証プライム・名証プレミアに上場、決算期は3月。株価は1,963円、今期予想EPS 171.01円なのでPERは11.5倍です。

発行済株式数は16,720,000株、うち自己株式が135,047株です。

19年の実績

売上高と営業利益(2008〜2026年3月期)
売上高と営業利益(2008〜2026年3月期)

2008年3月期の売上高80億円が、2026年3月期には291億円になりました。ただし一本調子ではありません。リーマン・ショックの影響で2010年3月期から2011年3月期にかけて売上は67億円→64億円へ落ち込み、営業利益も5.7億円から1.3億円まで縮んでいます。

そこからの回復が、この会社の実力を示しています。営業利益は1.3億円から35億円へ、15年で26倍になりました。

営業利益率 2.1% → 11.9% へ15年かけて改善
営業利益率 2.1% → 11.9% へ15年かけて改善

営業利益率で見ると、2011年3月期の2.1%が2026年3月期には11.93%まで上がっています。受託開発の会社が利益率をここまで上げるのは簡単ではありません。一次請けの比率を高め、単価の高い案件に絞ってきた結果だと考えられます。

EPSと1株配当 配当は6.25円から80円へ
EPSと1株配当 配当は6.25円から80円へ

1株配当(株式分割の調整後)は2010年3月期の6.25円から、2026年3月期の70円へ。2015年3月期まで6.25円で据え置きが続いた後、2016年3月期から段階的に増えています。連続増配は直近4期です。

今期1Qで何が起きたか

今期1Qは増収減益 営業利益は+26.8%から−10.1%へ
今期1Qは増収減益 営業利益は+26.8%から−10.1%へ

2027年3月期の第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高7,431百万円で前年同期比+7.0%、営業利益540百万円で-10.1%でした。経常利益と純利益も-11.6%です。

前年同期は売上+12.1%、営業利益+26.8%と好調でした。そこから営業利益の伸びが37ポイント落ちて、マイナスに転じています。売上は伸びているのに利益が減っているので、原価か販管費が売上以上に増えたということです。

1Qの営業利益540百万円は、通期予想3,850百万円の14.0%にあたります。

ただし1Qは、毎年いちばん小さい四半期

赤が1Q 毎年いちばん小さい四半期
赤が1Q 毎年いちばん小さい四半期

減益という数字だけを見る前に、四半期の並びを確認しておきます。赤い棒が各年の第1四半期です。1Qは毎年いちばん利益が小さい四半期で、2Q・3Q・4Qは必ずそれを上回っています。システム開発は年度末に向けて検収が集中するので、この形自体は自然です。

つまり「1Qの利益が通期予想の何%か」だけで判断することはできません。会社が下期偏重の計画を置いているのは、この季節性を前提にしているからです。

1Q同士で並べると水準は切り下がっていない
1Q同士で並べると水準は切り下がっていない

そこで1Q同士で並べ直します。2022年から順に4.30億円、4.72億円、4.74億円、6.01億円、そして今期が5.40億円です。

ここで分かるのは、前年の6.01億円が例年の水準から大きく跳ねていたということです。2022〜2024年は4.3〜4.7億円で推移していました。前年だけが突出して高かったので、今期はその反動で前年割れになっています。

今期の5.40億円を2年前の4.74億円と比べると+13.9%、3年前の4.72億円と比べても+14.4%です。水準そのものは切り下がっていません。「1Qが減益」という見出しだけで判断すると、この事実を見落とします。

ただし進捗率には注意が必要です。経常利益の通期予想に対する1Q時点の進捗は13.8%で、前年同期の17.4%より3.6ポイント遅れています。前期は2Q累計43.7%、3Q累計69.5%と進み、通期は予想の101.3%で着地しました。会社予想を超えて着地した実績はありますが、今期は前年よりスタートが遅いことは事実です。

会社は「上期は減益、通期は増益」と置いている

会社は「上期は減益、通期は+10.9%」と置いている
会社は「上期は減益、通期は+10.9%」と置いている

ここが読みどころです。会社は1Q決算と同時に通期予想を据え置きました(無(1Q時点で通期予想は据え置き))。それどころか、2Q累計(4〜9月)の予想も営業利益-6.5%と、減益を織り込んでいます

つまり会社の計画は「上期は前年割れ、下期で挽回して通期は+10.9%」という形です。1Qの減益は想定内であり、下期偏重の計画だということになります。

この前提が正しいかどうかは、10月末の2Q決算で最初の答え合わせができます。2Q累計の営業利益が予想の1,419百万円に届くか、そして通期予想を据え置くかどうかです。

増配の理由は配当方針の変更

増配の理由は業績ではなく、配当方針の変更
増配の理由は業績ではなく、配当方針の変更

1Qが減益なのに、同じ日に増配が発表されました。適時開示を読むと、理由は業績ではなく配当方針そのものの変更です。

内容
変更前 配当性向40%を目標とした安定配当
変更後 配当性向50%を目標とした安定配当を基本方針とし、2027年3月期から2029年3月期までの中期経営計画期間は累進配当とする

ポイントは2つあります。目標配当性向を40%から50%へ引き上げたこと、そして累進配当を導入したことです。

会社は累進配当を「原則として減配せず、配当の維持もしくは増配を行う配当政策」と定義しています。減配しないことを方針として明文化した、ということです。

これに伴い、2027年3月期の期末配当予想は70円から80円へ10円引き上げられました。株価1,963円での予想配当利回りは3.57%から4.08%になります。

累進配当の「期限」と「但し書き」

ただし、この方針をそのまま永続的なものと受け取るのは危険です。開示文には2つの限定が書かれています。

  1. 期間が区切られている。 累進配当の対象は「2027年3月期〜2029年3月期(3か年)」の中期経営計画期間です。3か年が終わった後にどうするかは、まだ決まっていません。
  2. 但し書きがある。 「急激な業績悪化、重大な投資案件の発生その他財務健全性に重要な影響を及ぼす事象が生じた場合には、必要に応じて配当方針を見直す可能性がある」と明記されています。

これは他社の累進配当の宣言でも一般的な書き方で、この会社が特に緩いわけではありません。ただ「累進配当を導入した=絶対に減配しない」ではないことは、押さえておくべきです。

配当性向で見ると、今期予想EPS 171.01円に対して配当80円なので46.8%。新しい目標の50%に近い水準です。前期は44.4%でした。目標を40%から50%へ上げたということは、利益が伸びなくても配当を1.25倍にできる余地を作ったということでもあります。今回の増配は、その余地を使った形です。

財務とキャッシュフロー

自己資本比率は43%から69%へ 現金は総資産の43%
自己資本比率は43%から69%へ 現金は総資産の43%

自己資本比率は2008年3月期の43.4%から2026年3月期の69.1%へ、19年かけて26ポイント改善しました。現金は8,430百万円で総資産の43.3%を占めます。

2026年6月末(1Q末)の自己資本比率は73.0%とさらに上がっていますが、これは期末配当の支払いなどで総資産が19,458百万円から17,385百万円へ減ったためです。

有利子負債率は7.1%、ネットD/Eレシオは-55.5%で実質無借金です。手元の現金が有利子負債を大きく上回っています。

営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー 9期すべて黒字
営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー 9期すべて黒字

営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローは、記録のある9期すべてで黒字です。2026年3月期は営業CF2,503百万円、フリーCF1,560百万円でした。配当を増やす原資という意味では、余裕があります。

株価

株価の推移(月足6年) 5年で+87%、直近1年は−7%
株価の推移(月足6年) 5年で+87%、直近1年は−7%

株価は5年で+87.0%と上昇していますが、直近1年は-7.2%で横ばい圏です。12ヶ月移動平均の傾きも-4.2%とわずかに下向きで、採点上のトレンド判定は「横ばい」でした。

17項目の採点結果

本シリーズの採点では、加点22点・減点0点で総合22点、146社中3位でした。判定年数19年で減点はゼロです。リーマン・ショックもコロナ禍も通過したうえで、赤字も減配も無配もタコ足配当もありませんでした。146社中5社しかない側です。

項目 評価 根拠
①売上高 10年CAGR 10.7% / 直近4期 10.4%
②EPS 10年CAGR 16.7% / 直近4期 18.0%
③営業利益率 11.93%
④自己資本比率 69.1%
⑤営業CF 赤字0回・増加傾向
⑥現金等 10年で2.95倍/現金比率43.3%
⑦配当金 連続増配4期(2015年まで据え置きが長かった)
⑧配当性向 44.4%(30〜50%が満点)
⑨株価の推移 5年+87.0% / 1年-7.2% / トレンド横ばい

⑦配当金が△なのは、2010年から2015年まで6年間6.25円で据え置きが続き、連続増配年数が4期にとどまっているためです。今回の累進配当の導入が続けば、この項目は年を追うごとに上がっていきます。

確認しておきたいこと

  1. 2Q累計が予想に届くか。 会社は上期の営業利益を1,419百万円(-6.5%)と置いています。10月末の2Q決算で確認できます。
  2. 通期予想を据え置くか。 「上期は減益、下期で挽回」という計画が維持されるかどうか。ここが崩れると、配当方針とは別の問題になります。
  3. 3か年が終わった後の配当方針。 累進配当の対象は2029年3月期までです。その先をどうするかは、中期経営計画の更新時に示されるはずです。

動画版

同じ内容を19分の動画にまとめています。

https://youtu.be/-aOfVRTECjY

データ出所

  • 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(2026-07-28/TDnet)
  • 配当方針の変更(目標配当性向の変更ならびに累進配当の導入)および2027年3月期 配当予想の修正に関するお知らせ(2026-07-28/TDnet)
  • 業績・配当・財務・キャッシュフローの長期推移(2008〜2026年3月期/IR BANK)
  • 株価・予想配当利回り(2026-08-21時点/Yahoo!ファイナンス)

本記事は公開情報を集計・整理したものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。1株あたりの数値は分割調整後です。数値は各出所の公表時点のもので、その後の開示により変わることがあります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

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